【閉店】さらば、私たちの「アサヒ」— 創業1号店・アヤハディオ栗東店が50年の歴史に幕

ローカル
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いつものように日用品を買い足そうと、ふらりと「アヤハディオ栗東店」を訪れた時のことだ。

見慣れた駐車場に車を止め、いつも通りに店舗の入り口へと歩みを進める。しかし、自動ドアの手前で、思わず足が止まった。そこに置かれた、一枚の大きな立て看板。

「閉店のお知らせ」

目に飛び込んできたのは、2026年8月2日(日)をもって営業を終了するという、にわかには信じがたい文字だった。

「えっ、嘘だろ……? あの栗東店が、本当になくなってしまうのか?」

胸を突いたのは、言葉にできないほどの驚愕と、言いようのない寂しさだった。昭和、平成、令和と、地域の人々の暮らしに寄り添い、滋賀県民にとって「あって当たり前」の存在だったアヤハディオ。実はこの栗東店こそが、アヤハディオの「記念すべき創業第1号店」なのである。

今回、話題のワダイでは、半世紀にわたり地域の暮らしを支え続けてきたアヤハディオ栗東店。その激動の歩みと、私たちの胸に残る温かい思い出を振り返る。

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ボウリング場跡からの出発と「日曜大工センターアサヒ」の大繁盛時代

アヤハディオ栗東店の歴史は、今からちょうど50年前の1976年(昭和51年)に遡ります。
当時、アヤハグループが新規事業として立ち上げたホームセンターの名称は、現在の「アヤハディオ」ではなく「日曜大工センターアサヒ」でした。

出店場所に選ばれたのは、当時ブームが去って閉鎖されたボウリング場の跡地。広いフロアと高い天井をそのまま活かした店舗構造は、当時まだ珍しかった「ホームセンター」という巨大な物販空間にうってつけでした。

日本のDIY(日曜大工)ブームの黎明期とも重なり、オープン当初から店内は黒山の人だかりに。「木材を切って自分で棚を作る」「住まいを自分好みに修繕する」という新しいライフスタイルを提案した店舗は、連日のように大繁盛を記録し、滋賀におけるホームセンター文化の礎を築きました。

「アヤハディオ」への屋号変更と、憩いの食堂「グリル・エース」の記憶

グリル・エース

1991年(平成3年)4月、生活様式の変化に合わせ、単なる日曜大工の店から日用生活全般をサポートする総合店舗へと進化を遂げるため、店舗ブランドを現在の「アヤハディオ」します。

この時代、栗東店を語る上で欠かせないのが、店内に併設されていた伝説の食堂「グリル・エース(グリル&喫茶 Aエース)」の存在です。

買い出しに来た家族連れはもちろん、近隣の工場で働くサラリーマンや長距離トラックのドライバーにとって、ここは絶好の「立ち寄り場所」であり「憩いの場」でした。

特に有名だったのが、熱々の鉄板で提供される「焼そば定食」。香ばしいソースの香りが漂うまたは焼きそばに、白ご飯とお味噌汁がセットになった、関西ならではの「炭水化物+炭水化物」の超ボリュームメニューは、働く男たちの胃袋をガッチリと掴んで離しませんでした。

唐揚げ定食

私も子供のころに父に連れられてお昼を食べに行きました。唐揚げ定食をよく食べてましたが、食べきれない量があった思い出が残っています。

「早い、安い、美味い、そしてお腹いっぱいになる」という昭和レトロな温かみがあったこの食堂は、栗東店のアイデンティティの一部となっていました。

巨大な弟分「ディオワールド草津店」の誕生:自社競合と地域密着の共存

ディオワールド草津店

1996年(平成8年)3月、アヤハディオにとって大きな転機が訪ります。隣接する草津市のJR草津駅西口(エイスクエア内)に、超大型店舗である「ディオワールド草津店」が誕生したのです。

目と鼻の先に現れた、圧倒的な品揃えと広さを誇る「巨大な弟分」。一見すると強力な自社競合であり、栗東店の存在意義が問われる事態となりました。

しかし、栗東店はここで独自の生き残り戦略を見出します。広すぎて目当ての商品を探すのにも一苦労するディオワールドに対し、栗東店は「普段着でサッと立ち寄れ、すぐに欲しいものが見つかる身近さ」を追求。

常連客の顔が見える接客や、ちょっとした合鍵作り、住まいの困りごとにすぐ対応する「地域密着の顔」として棲み分けを行い、見事に競合から「共存」へと昇華させたのです。

2018年の建て替えリニューアル、近隣競合店とのシェア争い

リニューアル

時の流れとともに店舗の老朽化が進み、2018年(平成30年)1月に栗東店は一時閉店し、店舗の全面建て替え工事を行いました(この際、惜しまれつつも「グリル・エース」は一度のれんを下ろし、のちに野洲市へと移転・復活を遂げることになります)。

同年10月、白を基調とした明るく現代的な店舗へと生まれ変わったアヤハディオ栗東店は、バリアフリーに対応し、地域の「新たなハブ(インフラ)」として再スタートを切りました。

しかし、周辺の商業環境は激しさを増していました。目と鼻の先の下鈎エリアには大型ホームセンター「コメリパワー栗東店」が出店し、さらに近隣には夜遅くまで営業する大手ドラッグストア(スギ薬局、クスリのアオキ、ウエルシアなど)が乱立。

日用品や生活雑貨の価格競争、顧客の奪い合いは、かつてないほど激しいものとなっていきました。

コロナ禍という未曾有の危機、地域を守った「最後の砦」としての役割

激しい競争の最中にあった2020年、世界は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに襲われます。
この未曾有の危機において、アヤハディオ栗東店が果たした役割は極めて大きいものでした。

世界中でマスクや消毒液が枯渇し、人々が不安に陥る中、アヤハディオは地域密着の流通網を活かし、いち早く衛生用品を確保。また、対面接客を行う地域の店舗や医療現場に向けて、顔用シールド(フェイスシールド)などの対策グッズを安定的に販売し続けました。

私もユニ・チャームのマスクや消毒液を買いにアヤハディオ栗東店に通った思い出があります。

「あそこに行けば、暮らしを守るものが手に入る」

不安に揺れる地域住民にとって、アヤハディオ栗東店はまさに「地域の衛生環境を守る最後の砦」であり、生活インフラとしての重大な責任を全うした瞬間でした。

一定の役割を終えての幕引き、そしてアヤハディオが目指す「グリーンの未来」へ

激動の時代を経て、約50年にわたり栗東の地を見守り続けたアヤハディオ栗東店は、2026年8月2日、惜しまれつつもその歴史にピリオドを打ちます。

それは、地域にDIY文化を根付かせ、日々の暮らしに寄り添い、コロナ禍という危機を共に乗り越えたという、「生活インフラとしての役割を十分に果たし終えた」ことによる美しい幕引きとも言えます。

栗東店は姿を消しますが、アヤハディオの挑戦が止まるわけではありません。

現在、アヤハディオがグループ全体で力を入れているのが、「園芸・植物(グリーンライフ)」や「ペット(ペットライフ)」といった、暮らしに潤いを与える専門分野の強化です。

単にモノを売るだけのホームセンターから、植物の育て方を提案し、愛犬や愛猫との豊かな暮らしをサポートする「体験と癒しの提供者」へと進化を遂げ、新しい顧客層の開拓に乗り出しています。

「日曜大工センターアサヒ」から始まった滋賀のDIYスピリッツと地域への愛は、近隣の「ディオワールド草津店」やリニューアルした「アヤハディオ守山店」へと受け継がれ、これからも形を変えて私たちの暮らしを支え続けていくことでしょう。

入り口の看板を見つめながら、心の中でつぶやいた。

「50年間、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした」


【店舗概要(閉店まで)】

  • 店舗名: アヤハディオ栗東店
  • 最終営業日: 2026年8月2日(日)
  • 近隣の主な代替店舗: ディオワールド草津店、アヤハディオ守山店、アヤハディオ追分店、アヤハディオ瀬田店
アヤハディオ公式アプリ

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