10月27日、滋賀県全域で4日間にわたり熱戦が繰り広げられた第24回全国障害者スポーツ大会「わたSHIGA輝く障スポ」が、彦根市の平和堂HATOスタジアムで感動的な閉会式を迎え、その幕を下ろしました。
選手たちの情熱、観客の熱い声援、そして大会を支えたボランティアや関係者の想いが一体となり、会場はまさに「熱気」と「感動」に包まれました。2日間に渡って応援に行った筆者の視点から、会場で目撃した忘れられない感動の瞬間と、閉会式の熱気をお伝えします。
熱気に包まれたフィナーレ
競技を終えた選手たちが、安堵感と達成感に満ちた笑顔で各都道府県のプラカードとともに入場すると、会場からは惜しみない拍手が送られました。
互いの健闘を称え合い、ハイタッチを交わす姿は、勝敗を超えたスポーツの素晴らしさを改めて感じさせてくれました。

式典では、大会旗の返還が行われ、感謝と労いの言葉が述べられました。そして、大会期間中、滋賀県内各地を照らし続けた炬火(きょか)が静かに納められると、会場全体が一体となってその瞬間を見守りました。

フィナーレでは、滋賀県出身のアーティスト、西川貴教さんが登場し、圧巻のパフォーマンスで会場のボルテージは最高潮に。選手も観客も一体となって盛り上がりました。
式典が終わり、全国から集まった選手たちが会場を後にする際、あちこちから「お疲れ様〜!」「ありがとう!」と自然に声が掛かります。選手たちも笑顔で手を振り返し、大会が終わってしまう名残惜しさと達成感が入り混じった、温かい余韻が会場全体を包み込んでいました。

会場で出会った、忘れられない瞬間
「湖国の感動 未来へつなぐ」のスローガンのもと、アスリートたちは持てる力のすべてを発揮してくれました。2日間に渡って現地を訪れたそこは競技の感動が凝縮されたような場所でした。
■ 輝く金メダルと笑顔
テントに、車椅子に乗った若い女性がお母さんと一緒に立ち寄ってくれました。聞けば、水泳競技で見事、金メダルを獲得したとのこと。「おめでとうございます!」と伝えると、はにかみながらも誇らしげな笑顔は、本当に輝いていました。
■ 一瞬で記憶する才能
知的障害がありながらも大会に出場したという女の子。彼女には、目で見たイラストを一瞬で覚えるという素晴らしい才能がありました。
私たちが持っていた「ひこにゃん」のイラストを見せると、次の瞬間にはスラスラと、完璧なひこにゃんを描いてくれ、その場にいた全員が驚きと感動に包まれました。

■ 祝福と、ちょっぴりシュールな表彰式
私の知り合いも陸上選手として100m走に出場しており、見事、銀メダルを獲得! 私たちも一緒に彼の勇姿を祝福しました。
しかし彼は、表彰式の場所を家族に伝えていなかったそうで、後から駆けつけたお母さんに
「なんで言っとかへんの!」
と怒られていました。首から立派な銀メダルを下げたままタジタジになっている姿は、少しシュールでしたが、それもまた微笑ましい、家族の絆を感じる光景でした。

■ 会場にあふれた「もらい泣き」
感動は選手だけからではありません。会場で画像記録員をしていた派遣の女性スタッフは、ファインダーを覗きながら「本当に感動する…」と涙を流していました。
また、事故で両足を失い、一時は生きる気力も失っていたという2児のママさんアスリート。彼女が「障スポでもう一度頑張る」と決意し、見事に入賞。授賞式で大泣きする彼女の姿に、周りの観客もスタッフも、みんな「もらい泣き」していました。

大会が残したもの ~明日への元気~
「わたSHIGA輝く障スポ」は、滋賀県、そして私たち一人ひとりに、誰もが輝ける「共生社会」の実現に向けた大きな一歩を示してくれました。
閉会式の熱気が冷めやらぬ中、帰路に着く体には心地よい疲労感がありました。しかし、それ以上に、障害を乗り越えて全力を尽くしたアスリートたちの笑顔とひたむきな姿から、言葉にできないほどの元気と勇気をもらいました。

この大会で生まれた感動と絆を胸に、「明日からまた頑張ろう」。心からそう思える、本当に素晴らしい大会でした。選手、役員、ボランティア、すべての関係者に「感動をありがとう」と伝えたいです。
来年は青森で開催される国スポ・障スポ。ぜひ皆さんも実際に応援に行ってみて下さい。その熱気とひたむきさに感動し、力をもらえること間違いなしです!


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