2025年の夏、記録的な猛暑や局地的なゲリラ豪雨が頻発する中、ある感染症のリスクが静かに高まっています。その名は「レプトスピラ症」。かつては「秋疫(あきやみ)」とも呼ばれたこの病気は、人にも動物にも感染する人獣共通感染症であり、最悪の場合、命を落とす危険性もあります。
近年の気候変動や私たちのライフスタイルの変化により、レプトスピラ症は決して他人事ではありません。
話題のワダイでは、なぜ今レプトスピラ症が危険視されているのか、その恐ろしい症状、具体的な感染経路、そして何より自分と大切な家族、ペットを守るための予防策を徹底的に解説します。
レプトスピラ症とは?見過ごされがちな身近な脅威

レプトスピラ症は、「レプトスピラ」というらせん状の細菌が原因で引き起こされる感染症です。この菌は、ネズミやアライグマ、イノシシなどの野生動物や、犬、牛、豚といった家畜の腎臓に潜み、尿とともに環境中に排出されます。
この菌に汚染された水や土壌が、私たちの生活圏に忍び寄ることで感染リスクが生まれるのです。
なぜ今、大流行が懸念されるのか?3つの理由
専門家が警鐘を鳴らす背景には、現代社会が抱える3つのリスクが関係しています。
理由1:記録的な猛暑とゲリラ豪雨の増加

レプトスピラ菌は高温多湿の環境を好みます。猛暑は菌の活動を活発にし、ゲリラ豪雨や洪水は、菌を含んだ土壌や動物の尿を広範囲に拡散させます。
水害後の清掃作業や、水たまりでの水遊びは特に危険性が高まります。
理由2:野生動物との距離の変化

都市開発や耕作放棄地の増加により、野生動物の生息域が人間の生活圏に近づいています。
これまで山奥にいたはずの動物が住宅街に出没することで、知らず知らずのうちに身の回りが病原菌に汚染されている可能性があります。
理由3:アウトドアブームとリスク認識の不足

キャンプや川遊び、沢登りなどの人気が高まる一方で、それに伴う感染症リスクの認識はまだ十分とは言えません。
楽しいレジャーが一転して悪夢とならないよう、正しい知識が不可欠です。
感染経路を徹底解剖!こんな行動に注意

レプトスピラ菌は、目に見えない小さな脅威です。主に以下の経路で体内に侵入します。
🦠経皮感染(最も多い)
皮膚の小さな傷、切り傷、擦り傷や、目・鼻・口の粘膜から菌が侵入します。
🦠経口感染
菌に汚染された水を誤って飲んでしまうことで感染します。
具体的な感染シーン
🦠水辺のレジャー:川遊び、カヌー、釣り、キャンプなど
🦠農作業・ガーデニング:田んぼや畑での作業、土いじり
🦠水害後:冠水した家屋の片付け、側溝の掃除
🦠その他:衛生管理が不十分な場所での作業、ネズミが多い場所への立ち入り
もしかして…?見逃せないレプトスピラ症の症状

症状は軽症から重症まで幅広く、他の病気と間違えやすいのが特徴です。感染が疑われる行動に心当たりがある場合は、症状を注意深く観察してください。
【人間】インフルエンザ様症状から重篤な「ワイル病」まで
- 潜伏期間:通常3日~14日
- 初期症状(軽症型):突然の高熱(38~40℃)、悪寒、頭痛、激しい筋肉痛(特にふくらはぎ)、目の充血などが現れます。多くはインフルエンザや夏風邪と間違えられます。
- 重症型(ワイル病):初期症状に加え、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、出血(鼻血、血尿など)、腎機能障害といった重い症状が出現します。ワイル病は致死率が5~40%と非常に高く、緊急の治療が必要です。
【犬】飼い主が気づくべき危険なサイン

犬は人間よりも感染しやすく、重症化しやすい傾向があります。
- 突然の元気・食欲消失、震え
- 高熱
- 嘔吐、下痢
- 黄疸(歯茎や白目を確認)
- 歯茎からの出血、血尿
- 尿が全く出なくなる(腎不全)
重症の場合、数日で命を落とすこともあります。少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院を受診してください。
自分と家族、ペットを守る!今日からできる予防策5選

レプトスピラ症は予防が何よりも重要です。以下の対策を徹底しましょう。
水辺では肌の露出を避ける
川や湖で遊ぶ際は、サンダルではなくウォーターシューズを履く、むやみに水に顔をつけない、皮膚に傷がある場合は水に入らないなどの対策を心がけましょう。
洪水・冠水後の作業は完全防備で
水害後の片付け作業は最も危険なシーンの一つです。必ず長靴、防水性の手袋、ゴーグル、マスクを着用し、作業後は速やかにシャワーを浴びて体を洗い流してください。
ペットのワクチン接種と衛生管理

犬にはレプトスピラ症の予防効果がある混合ワクチンがあります。特にアウトドアによく出かける場合は、獣医師に相談の上、必ず接種しておきましょう。
また、ネズミなどの野生動物を近づけないよう、フードの管理やゴミの処理にも気を配りましょう。
家の周りの水たまりをなくす
家の周りのバケツや植木鉢の受け皿に溜まった水は、菌の温床になるだけでなく、ネズミが集まる原因にもなります。こまめに水を捨て、環境を清潔に保ちましょう。
体調不良を感じたら、すぐに医療機関へ

発熱や筋肉痛などの症状があり、1〜2週間以内に川遊びや農作業、水害後の清掃作業などを行った場合は、速やかに内科や感染症内科を受診し、その旨を必ず医師に伝えてください。
早期発見・早期治療が重症化を防ぐ鍵です。
まとめ
レプトスピラ症は、私たちの生活環境の変化に伴い、確実にそのリスクを増している感染症です。しかし、正しい知識を持ち、適切な予防策を講じることで、その脅威から身を守ることは十分に可能です。
今年の夏を安全に楽しむために、そして万が一の事態に備えるために、ぜひこの記事の情報を役立ててください。あなたとあなたの大切な人の健康を守るための第一歩は、今日の正しい知識と行動から始まります。
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