無料で1TBという、他の主要なクラウドストレージサービスを圧倒する大容量を提供する「TeraBox」。信じられないような大容量が無料で使えるその魅力の裏には、どのようなメリット・デメリット、そして注意点が存在するのでしょうか。
機能、安全性、評判、料金体系など、様々な角度からTeraBoxを調べてみました。果たして安全に1TBもの大容量を安全に使用することが本当にできるのでしょうか?
クラウドストレージの容量不足で困っているあなたもこの記事を見て導入をするかどうか決めてください。
TeraBoxとは? 個人向けに特化した大容量クラウドストレージ

まずは、TeraBoxを初めて聞いたという人も多いと思うので簡単に説明をします。TeraBoxは、中国のIT企業であるFlextech Inc.が運営するクラウドストレージサービスです。
もともとは「Dubox」という名称でサービスを提供していましたが、2021年に現在の「TeraBox」へと名称を変更しました。
最大の特徴は、なんといっても無料プランで1TBという破格のストレージ容量が利用できる点です。これは、Googleドライブの無料プラン(15GB)やDropboxの無料プラン(2GB)と比較しても、その大容量さが際立ちます。
写真や動画、ドキュメントなど、様々なデータを容量を気にすることなく保存できるため、特に個人のデータバックアップ用途として注目を集めています。
自動バックアップやファイル共有機能も備える
TeraBoxは、単に大容量なだけでなく、クラウドストレージとしての基本的な機能も一通り備えています。
自動バックアップ機能

スマートフォン内の写真や動画を自動でバックアップする機能を搭載。手動でアップロードする手間が省け、大切なデータを確実に保存できます。
ファイル共有

保存したファイルやフォルダへの共有リンクを生成し、他の人と簡単にデータを共有できます。パスワード設定や有効期限の設定も可能となっています。
マルチデバイス対応

パソコン(Windows/Mac)やスマートフォン(iOS/Android)向けのアプリが提供されており、ウェブブラウザからもアクセス可能です。これにより、いつでもどこでもデータにアクセスし、管理することができます。
使い方はシンプルで、アカウントを登録し、アプリまたはブラウザからファイルをアップロードするだけです。直感的なインターフェースで、初心者でも迷うことなく利用を開始できるでしょう。
安全性と危険性:過去のインシデントと現在の対策
大容量で便利な一方、ユーザーが最も気になるのはその安全性でしょう。特に、運営会社が中国企業である点や、過去のセキュリティインシデントから、その危険性を懸念する声も少なくありません。
セキュリティ対策とその実績

2022年に、TeraBoxはセキュリティ侵害があったことを公表しています。このインシデントでは、一部のユーザーデータへの不正アクセスの可能性が指摘されました。同社は、影響を受けたユーザーにパスワードのリセットを促すなどの対応を行いました。
このインシデントを受け、TeraBoxはセキュリティ強化に努めていると表明しています。公式サイトでは、以下の対策を講じていると説明しています。
- データ暗号化: 転送中および保存中のデータを暗号化し、不正なアクセスから保護します。
- 国際的な認証: 情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格であるISO/IEC 27001などの認証を取得しています。
- 透明性レポート: 定期的に透明性レポートを公開し、違法コンテンツへの対策状況などを報告しています。
中国の「国家情報法」の脅威的存在

中国では国家情報法に基づき、中国政府が企業に対してデータ提供を要求した場合、それに従わざう必要があります。機密性の高い個人情報やビジネス上の重要データを保存する際には、こうしたリスクを十分に理解した上で利用を判断する必要があります。
中国国家情報法は、「国家の安全と利益を守る」ことを目的に制定されました。この法律の最大の特徴であり、最も懸念されるのが第七条の規定です。
第七条 いかなる組織及び個人も、法に基づき国家の情報活動に協力しなければならない。
この条文は、中国国内のあらゆる企業や個人、さらには中国国外にいる中国国民や中国企業に対しても、中国政府の情報活動への協力を法的に義務付けるものです。つまり、中国政府が「国家の情報活動」と判断すれば、企業が持つ機密情報や顧客データ、個人が持つ情報などを提供するよう要求でき、それを拒否することは法律違反となります。
さらに、国家情報機関には、立ち入り調査、通信の傍受、財産の差押えといった極めて広範な権限が与えられており、その活動は事実上、司法のチェックが及びにくい構造になっています。
評判と口コミ:メリットとデメリットが混在
ユーザーからの評判は、その大容量を絶賛する声がある一方で、いくつかのデメリットを指摘する声も目立ちます。よくある声をまとめてみました。参考にして下さい。
良い評判・メリット

👍 圧倒的な無料容量: 「1TBも無料で使えるのは他にない」「写真や動画を気兼ねなくバックアップできる」といった、容量に関する満足度の高い口コミが多数見られます。
👍 使いやすさ: 「操作がシンプルで分かりやすい」「自動バックアップが便利」など、基本的な機能の使いやすさを評価する声も多いです。
悪い評判・デメリット

👎 広告の多さ: 無料プランでは、アプリ内に広告が表示されます。これが煩わしいと感じるユーザーも少なくありません。
👎 転送速度の遅さ: 無料プランでは、ファイルのアップロードおよびダウンロードの速度に制限がかけられています。大容量のファイルを扱う際には、時間がかかるという不満の声が見られます。
👎 セキュリティへの不安: 前述の通り、運営会社の出自や過去のインシデントから、セキュリティ面での不安を抱くユーザーも一定数存在します。
有料プランでさらに快適に
先述のように、TeraBoxには、無料プランの他に、より快適に利用できる有料のプレミアムプランが用意されています。
プラン | ストレージ容量 | 主な機能 | 料金(目安) |
---|---|---|---|
無料 | 1TB | ・広告表示 ・アップロード上限: 4GB ・ダウンロード速度制限あり | 無料 |
Premium | 2TB | ・広告非表示 ・アップロード上限: 20GB ・高速ダウンロード ・動画の倍速再生など | 月額380円~ |
有料プランにアップグレードすることで、広告が非表示になり、アップロードできるファイルサイズの上限が引き上げられ、転送速度の制限も解除されるなど、より快適な利用環境が手に入ります。
まとめ:リスクを理解し、賢く使い分けることが重要

TeraBoxは、「無料で1TB」という他を圧倒する大容量が最大の魅力であることは間違いありません。個人の写真や動画のバックアップなど、大容量を必要とする用途においては非常に強力な選択肢となり得ます。
しかし、その裏には広告の表示、転送速度の制限、そして無視できないセキュリティ上の懸念が存在します。特に、機密性の高い情報を扱う場合には、そのリスクを十分に考慮する必要があります。
結論として、TeraBoxは
「失っても大きな問題にはならないデータのバックアップ先」
として割り切って利用するのが賢明と言えるでしょう。例えば、スマートフォンの写真や動画、個人的な趣味のファイルなどを保存するには非常に適しています。
個人情報や仕事の重要データなど、漏洩した場合のリスクが大きいファイルの保存は避けるべきです。
他の主要なクラウドストレージサービスと併用し、それぞれのサービスの長所と短所を理解した上で、データの種類によって保存先を使い分けることが、クラウドストレージを安全かつ有効に活用するための鍵となるでしょう。
コメント