「かわいい」「美しすぎる」
2026年の春高バレーで、文京学院大学女子高等学校の佐々木音衣(ささき ねい)選手を取り巻いたのは、そんな華やかな形容詞ばかりでした。
しかし、彼女のプレーを現地や映像で追いかけたバレーボールファンが本当に心を動かされたのは、その整った顔立ちではありません。
準々決勝、強豪・大阪国際高校にストレートで敗れた後、彼女が残した

全員で悔いなく終われた
という言葉。そして、コート上で見せた170cmのオポジットとしての矜持。今回は、ビジュアルの話題だけでは語り尽くせない、アスリート・佐々木音衣の実像と、彼女が文京学院女子高等学校に残した「遺産」について深掘りします。
「私が決める」ではない。3年生としての献身

今年の文京学院を語る上で外せないのが、強力な2年生コンビの存在です。 前年の予選から活躍を見せていた佐藤杏菜選手、宮嶌里歩選手という「2年生Wエース」の攻撃力は全国屈指。ともすれば、上級生の立場が難しくなるチーム構成です。
しかし、佐々木選手はそこで腐ることなく、自身の役割を全うしました。彼女のポジションである「オポジット」は、海外やVリーグではチーム一番の点取り屋(大砲)が務めることが一般的です。

しかし、身長170cmの彼女が選択したのは、エースにただボールを集めるのではなく、自らが「潤滑油」となり、守備でも攻撃でもチームの穴を埋めるプレースタイルでした。
派手なスパイク決定率だけでなく、苦しい場面での繋ぎや、後輩エースたちが気持ちよく打てるような雰囲気作り。
「全員で悔いなく」
という言葉には、自分が目立つことよりも、チームとしての最大値を引き出すことに捧げた1年間の想いが込められていたように感じます。
170cmのオポジットが通用した理由

もちろん、彼女自身の技術も一級品です。 ネットの高さが2m24cmの女子バレーにおいて、身長170cmのオポジットは決して有利ではありません。
ブロックの上から打つことは難しく、常に相手のブロックを利用する「ブロックアウト」や、守備の隙間を狙う「コース打ち」が求められます。
佐々木選手の武器は、その判断の速さでした。トスが上がった瞬間に相手のブロック枚数を確認し、強打ではなくあえてリバウンドをもらって攻撃を作り直す冷静さ。
そして、文京学院のお家芸でもある「粘りのレシーブ」からの切り返しで、相手の大型選手を翻弄するスピード。
「高さがないなら、速さと知恵で戦う」 その姿勢は、バレーボールをプレーする多くの中高生選手に勇気を与えました。
涙の先にあったのは「継承」

ベスト8進出をかけた大阪国際戦(0-2)での敗北。 試合終了の瞬間、涙は見せつつも、彼女はどこか清々しい表情をしていました。
それは、自分たちの戦い方を貫き、そして頼もしい後輩たちにバトンを渡せたという安堵感から来るものだったのかもしれません。
SNSではその美貌ばかりが注目されがちですが、彼女の真価は、伝統校・文京学院の看板を背負い、プレッシャーの中でチームをまとめ上げた「キャプテンシー」と「メンタリティ」にあります。
卒業後の進路が大学であれVリーグであれ、この「組織のために献身できる能力」は、どの世界でも彼女の強力な武器となるはずです。
春高バレー2026のヒロイン・佐々木音衣。彼女がコートに残したのは、単なる話題性ではなく、確かな強さの記憶でした。


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