ただの「砂」が世界を救う?日本でも始まった「砂電池」の驚きの仕組みとは

科学技術
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再生可能エネルギーの普及が進む中、常に課題となってきたのが電気をどうやって貯めておくかという問題です。

そんな中、フィンランドで生まれ、今まさに日本でも動き始めた驚きの技術があります。それが「砂電池(サンドバッテリー)」です。

「えっ、砂で電池?」と思われるかもしれません。しかし、このローテクに見える技術が、エネルギー問題の救世主として世界中から注目されています。

今回話題のワダイでは、その仕組みと日本国内での最新の動きについて解説します。

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砂電池とは?身近な例でイメージしてみよう

砂電池とは、一言で言えば「砂を熱してエネルギーを貯めておく巨大な装置」です。

リチウムイオン電池のような化学反応は使いません。仕組みは驚くほどシンプルで、「石焼き芋」「夏の砂浜」と同じ原理です。

なぜ「砂」なのか?

皆さんも、真夏の海水浴場を想像してみてください。夕方になって気温が下がっても、砂浜の砂はまだ「熱っ!」と感じるほど熱を持っていませんか? あるいは、サウナの石(サウナストーン)がいつまでも熱いのも同じです。

真夏の海水浴場

砂や石には「一度熱くなるとなかなか冷めない(蓄熱性が高い)」という性質があります。砂電池はこの性質を利用し、電気を使って砂を500℃〜600℃という高温にし、数ヶ月間も熱を保存してしまうのです。

どうやって使うの?

実際にためた熱をどう使うのでしょうか?その貯蔵から使用までのサイクルを簡単に図にしてみました。

貯める
太陽光や風力発電で「電気が余っている時」に、その電気を使って砂を加熱します。

保存する
断熱材で囲われたタンクの中で、砂は高温のまま熱を保ち続けます。

使う
暖房やお湯が必要になった時に、砂から熱を取り出して利用します。

    日本国内での動き:ついに日本上陸!

    砂電池は海外の遠い話ではありません。実は日本でも、この砂電池の実用化に向けた動きが活発化しています。

    茨城県つくば市での展開

    アルテルノ

    アジア発のクライメートテック企業「Alternō(アルテルノ)」が、2025年10月に日本法人を茨城県つくば市に設立しました。

    彼らは日本の「ものづくり」の技術力に注目し、国内の精密加工会社や工場(茨城県内の企業など)と連携して、砂電池の製造・展開を進めています。

    特に日本では、農業(ビニールハウスの暖房)や茶葉の乾燥工場の熱源として、この「砂の熱」を利用する計画が進んでいます。

    なぜ日本に向いている?

    温泉

    日本は資源が少ない国ですが、砂や土はどこにでもあります。また、温泉文化があるように「お湯(熱)」を大量に使う国でもあります。

    高価なレアメタルを使わず、地元の砂や土でエネルギーを自給自足できるこの技術は、日本にこそ適していると言われています。

    砂電池の「3つの凄さ」

    リチウムイオン電池と比較した時のメリットは圧倒的です。

    • とにかく安い: 原料は「砂」です。建設コストも運用コストも劇的に安く済みます。
    • 安全・爆発しない: 化学薬品を使わないため、液漏れや火災のリスクが極めて低いです。
    • 劣化しない: スマホの電池は使うほどヘタリますが、砂は何度熱しても劣化しません。半永久的に使えます。

    まとめ:ローテクが最先端を超える

    石焼き芋

    最先端のAIや半導体が話題になる一方で、足元の「砂」がエネルギー問題の鍵を握っているというのは非常に面白い話です。

    「石焼き芋」の原理で地球を救うこの技術。近いうちに、あなたの街のビニールハウスや工場の横に、ひっそりと「熱い砂のタンク」が並ぶ未来が来るかもしれません。

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