「国民民主党」という名前、ニュースで聞いたことはあるけれど、正直どんな政党なのかよく分からない…と思っていませんか?
「与党に協力的なの?」「他の野党と何が違うの?」そんな疑問を持つ方も多いかもしれません。
この記事では、そんな国民民主党の歴史、主要な政策、そして日本政治での立位置を、政治にあまり興味のない人にも分かりやすく説明しようと思います。
あなたもこの記事を読み終える頃には、国民民主党の「個性」がきっと理解できるはずです!
国民民主党のあゆみ:誕生、分裂、そして再出発

国民民主党の歴史を理解する上で、実は「旧」と「新」の2つの時代があることを知っておくと、とても分かりやすくなります。
2018年:「旧」国民民主党の誕生

2018年5月、当時の「民進党」と「希望の党」という2つの政党の一部が合流して、「(旧)国民民主党」が誕生しました。
当時の日本政治は、森友学園や加計学園の問題で、政府に対する不信感が高まっていた時期です。そんな中、新しく生まれた国民民主党は、ただ政府を批判するだけでなく、「つくろう、新しい答え。」をスローガンに、具体的な政策を提案していく「改革中道」の姿勢をアピールしました。
実際、政府が出す法案に対しても、国民生活に必要だと判断すれば賛成することが多く、その賛成率は8割を超えることも。これは「何でも反対」のイメージが強い野党の中では、非常にユニークな特徴でした。
2020年:分裂、そして「新」国民民主党へ

順調に歩み始めたかに見えた国民民主党ですが、2020年に大きな転機を迎えます。
野党勢力を一つにまとめようという動きの中で、当時のもう一つの大きな野党「立憲民主党」との合流話が持ち上がりました。
しかし、合流後の党の名前や、消費税を減税するかどうか、憲法をどう考えるかといった重要な政策について、党内で意見が真っ二つに分かれてしまいます。
最終的に、大多数の議員は新しくできた「(新)立憲民主党」へ合流することを選びました。

一方で、代表だった玉木雄一郎氏を中心とする少数の議員は、合流せずに自分たちの政策理念を引き継ぐことを決意。こうして2020年9月、規模は小さくなりましたが、現在の「(新)国民民主党」が結成され、再出発を切ったのです。
この分裂は、ちょうど新型コロナウイルスのパンデミックで日本中が大変な時期と重なります。未曾有の危機に対し、どんな経済対策を打つべきか。そうした考え方の根本的な違いが、分裂という道を選ばせた一因とも言えるでしょう。
国民民主党の「売り」はこれ!主要な政策をチェック
現在の国民民主党が最もアピールしているのが、「対決より解決」というスローガンです。これは、政府と対立すること自体が目的ではなく、国民の課題を解決するためなら、与党とも協力して現実的な答えを出していく、という党の基本姿勢を表しています。
では、具体的にどんな「解決策」を提案しているのでしょうか。主な政策の柱を見てみましょう。
給料が上がる経済の実現

国民民主党が最重要政策として掲げているのが、この「給料アップ」です。物価が上がる中で、多くの人が最も関心のあるテーマではないでしょうか。
そのための具体的なアイデアとして、以下のような政策を提案しています。
✅ 所得税・消費税の減税
私たちの手取りを直接増やし、消費を促すことを目指します。特に、実質賃金がプラスに転じるまでは消費税を5%に引き下げるべきだと主張しています。
✅ ガソリン税の引き下げ
ガソリン価格を直接下げる「トリガー条項」の凍結解除を強く求めています。
✅ 中小企業の支援
日本経済を支える中小企業が、原材料費の値上がり分をきちんと価格に転嫁できるよう後押しします。
「まず国民の懐を豊かにする」という分かりやすい目標が、この政策の根幹にあります。
未来への投資:「人づくりこそ国づくり」

経済と並んで、党が重視しているのが人への投資です。未来を担う子どもたちや、学び直しをしたい大人を積極的に支援しようという考え方です。
✅ 高校までの教育費を完全無償化
授業料だけでなく、給食費や修学旅行費も含めた無償化を目指しています。
✅ 給付型奨学金の拡充
返済の必要がない奨学金を増やし、誰でも高等教育を受けられる環境を整えようとしています。
✅ 社会人の学び直し(リスキリング)支援
変化の激しい時代に対応できるよう、社会人が新しいスキルを身につけるための支援を強化します。
国の守り:「自分の国は自分で守る」

安全保障については、より自立した防衛体制を築くべきだという立場です。
✅ 防衛力の強化
防衛予算を増やし、自衛隊の能力を高めることを主張しています。
✅ 食料・エネルギー自給率の向上
外国からの輸入に頼りすぎず、国内で食料やエネルギーを確保する力も「安全保障」の一部だと考えています。
このように、国民民主党は「政策本位」を掲げ、生活に身近な経済問題から教育、安全保障まで、具体的な解決策をパッケージとして示しているのが大きな特徴です。
日本政治での立ち位置:与党?野党?そのユニークな役割とは

国民民主党の最もユニークで、少し複雑に見えるのが、その「立ち位置」です。
基本的には「野党」ですが、他の多くの野党とは一線を画しています。それは、「是々非々(ぜぜひひ)」の姿勢を徹底している点です。
「是々非々」とは、「良いことは良い(是)、悪いことは悪い(非)」と、一つ一つの政策課題ごとに是か非かを判断する態度のこと。
そのため、国民民主党は、政策の方向性が一致すれば、与党である自民党や公明党とも積極的に話し合い、協力します。 2023年度予算案に賛成したり、ガソリン税減税(トリガー条項)について与党と協議したりしたのが、その代表例です。
このスタイルのメリットとデメリット
この独特なスタイルには、メリットとデメリットの両方があります。
【メリット】
- 政策が実現する可能性がある:議席数が少なくても、与党が賛成を必要とする場面などで「キャスティングボート」を握り、自分たちの政策を実現させられる可能性があります。
- 政治を前に進める力になる:与野党が対立ばかりして何も決まらない「政治の停滞」を避け、物事を前に進めるきっかけになるかもしれません。

【デメリット】
- 「野党らしくない」という批判:与党に協力的な姿勢は、「野党としてのチェック機能を果たしていない」「結局は自民党寄りだ」といった批判を受けやすいです。
- 党内の路線対立:この「与党との距離感」をめぐって、党内で意見が割れることがあります。実際に2023年末には、この路線に反対した前原誠司氏らが離党し、別の政党を作るという出来事もありました。

国民民主党は、まさにこの「与党との協力」と「野党としての独自性」の間の、絶妙なバランスを取りながら活動している政党だと言えるでしょう。
まとめ:これからの国民民主党に注目!

今回は、国民民主党について、その歴史から政策、そして独特な立ち位置までを解説しました。
ポイントをまとめると、
- 2020年に分裂を経て再出発した、玉木雄一郎代表が率いる政党。
- 「対決より解決」を掲げ、具体的な政策提案で課題解決を目指す。
- 特に「給料が上がる経済」と「人づくり(教育)」を重視している。
- 与党とも是々非々で協力する、ユニークな「政策本位」の野党。
伝統的な政治の対立にうんざりしている人にとっては、国民民主党の現実的なスタイルは魅力的に映るかもしれません。一方で、政権に対して、より厳しく対峙する野党を求める人にとっては、物足りなく感じるかもしれません。

私たちの生活に直結する「お給料」や「物価」、「教育」といった課題に対して、国民民主党がこれからどんな「解決策」を提示し、実現していくのか。
そのユニークな挑戦が、日本政治に新しい風を吹き込むのかどうか。これからも注目していく価値のある政党の一つです。
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