なぜ高い?東京23区の火葬料金、他都市との比較と高額な理由を徹底解説

葬儀場 ローカル
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東京23区で葬儀を執り行う際、多くの方が直面するのが火葬料金の高さです。故人との最後のお別れに際し、想定外の費用に驚かれるケースも少なくありません。他の地域と比べて、なぜ東京23区の火葬料金はこれほどまでに高額なのでしょうか。

この記事では、東京23区の火葬料金の実態を他の主要都市と比較しながら、その背景にある構造的な原因を詳しく解説します。大切な方とのお別れを考える上で、知っておきたい費用についての情報をお届けします。

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突出する東京23区の火葬料金、他都市との価格差は歴然

まず、東京23区の火葬料金が他の都市といかに異なるかを見ていきましょう。

東京23区内には9カ所の火葬場がありますが、そのうち公営は2カ所のみで、残りの7カ所は民営です。特に、民営火葬場のうち6カ所を「東京博善」という一企業が運営しています。

このため、多くの都民が民営の火葬場を利用することになり、その料金が23区の相場を形成しています。

【主要都市の公営火葬場 料金比較(大人・市民料金)】

自治体名火葬料金(市民/区民)
東京23区(民営:東京博善)90,000円 (普通炉)
東京23区(公営:臨海斎場)44,000円 (組合区民)
東京23区(公営:瑞江葬儀所)59,600円 (都民)
札幌市無料
横浜市12,000円
名古屋市5,000円
大阪市10,000円
福岡市20,000円
さいたま市7,000円

※料金は2025年10月時点の一般的なプランを参考に記載。

表を見てもわかる通り、東京23区の民営火葬場の料金は他の政令指定都市の公営火葬場と比較して5倍から10倍以上と、突出して高額です。同じ23区内でも、数少ない公営斎場を利用できれば費用を抑えられますが、誰もが利用できるわけではありません。

なぜ、このような大きな価格差が生まれてしまうのでしょうか。その背景には、東京23区が抱える特有の事情があります。

東京23区の火葬料金が高額な理由 3つ

東京23区の火葬料金が高騰する背景には、主に3つの複合的な要因が絡み合っています。

理由1:公営火葬場の不足と民営による「寡占」

東京博善

最も大きな原因は、公営火葬場の絶対数の少なさです。23区内には、江戸川区の「瑞江葬儀所」と、港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区が共同で運営する「臨海斎場」の2カ所しか公営の火葬場がありません。

その一方で、民営火葬場は7カ所ありますが、そのうちの6カ所を「東京博善」が運営しています。これにより、市場の大部分を1社が占める「寡占状態」が長年続いています。競争原理が働きにくいため、価格が高止まりしやすい構造になっているのです。

近年では、この東京博善の親会社が外資系投資ファンドの傘下に入ったことも、利益を重視した価格設定に繋がり、料金改定に影響を与えているとの指摘もなされています。

理由2:世界有数の高さ、土地代と設備維持コスト

土地価格

東京23区、特に都心部の地価は世界的に見ても非常に高水準です。広大な敷地を必要とする火葬場の建設・維持には莫大なコストがかかり、その費用が火葬料金に反映されるのは避けられません。

また、近隣住民への配慮や環境基準を満たすため、最新の火葬炉や排煙・脱臭設備への投資も必要不可欠です。これらの高度な設備の導入や維持管理、さらには都心部の高い人件費も、火葬料金を押し上げる要因となっています。

理由3:進む高齢化、需要と供給のアンバランス

高齢化

日本の他の地域と同様に、東京23区でも高齢化が進行し、年間の死亡者数は増加傾向にあります。しかし、新たな火葬場の建設は、用地確保の難しさや建設反対運動などから非常に困難な状況です。

その結果、火葬の需要に対して供給が追いつかず、「火葬待ち」と呼ばれる、ご逝去から火葬まで数日間待機しなければならないケースが常態化しています。需要が供給を上回る状況では、価格は下がりにくくなります。この需給のアンバランスも、高額な火葬料金を維持する一因となっています。

火葬料金の負担を少しでも抑えるためのポイント

高額な火葬料金は避けられないのでしょうか。いいえ、いくつかのポイントを知っておくことで、負担を軽減できる可能性があります。

公営火葬場の利用を検討する

火葬待ち

故人または喪主が対象の自治体(瑞江葬儀所は東京都、臨海斎場は対象5区)の住民であれば、公営火葬場を割安で利用できます。

条件に当てはまる場合は、まず公営斎場の利用を検討するのが賢明です。ただし、人気が高く予約が取りにくい場合があるため、早めに葬儀社に相談することが重要です。

シンプルな葬儀形式を選ぶ

風葬

    通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う「直葬(ちょくそう・じきそう)」や「火葬式」と呼ばれる形式を選択することで、儀式にかかる費用を大幅に抑えることができます。

    火葬料金そのものは変わりませんが、葬儀全体で見たときの総額を大きく減らすことが可能です。

    複数の葬儀社から見積もりを取る

    見積もり

    火葬場の予約や手続きは、多くの場合、葬儀社を通じて行います。葬儀社によって提案するプランやサービス、料金体系は様々です。

    複数の葬儀社から見積もりを取り、内容を比較検討(相見積もり)することで、不必要なオプションを省き、納得のいく費用で依頼することができます。

      まとめ

      お葬式

      東京23区の火葬料金の高さは、単なる物価高だけでなく、公営施設の不足と民営による寡占、都心ならではのコスト、そして需要と供給のアンバランスという構造的な問題が深く関わっています。

      この現実を理解した上で、利用できる制度を調べ、葬儀の形式を検討し、信頼できる葬儀社を選ぶことが、納得のいくお見送りを実現するための鍵となります。いざという時に慌てないためにも、本記事で解説した背景と対策を、ぜひ心に留めておいてください。

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