手軽で安価な宿泊先を探せるとして人気のオンライン宿泊予約サイト「Agoda(アゴダ)」。しかしその裏で、「予約したはずの宿が取れていない」「返金に応じてもらえない」といったトラブルが続出し、社会問題化しています。
事態を重く見た観光庁は2025年3月に続き、7月に入っても改善が見られないとして、運営会社に対し異例の業務改善要請を重ねて行いました。
本記事では、一連の問題の事実関係、報告されている具体的なトラブル事例、なぜこれほど問題が多発するのか、そして私たちはどのように自衛すればよいのかを詳しく解説します。
観光庁がAgodaに改善を要請

複数の報道によると、観光庁はオンライン宿泊予約サイト「Agoda」の日本法人に対し、2025年7月に業務改善の要請を行いました。

宿泊施設に到着したら予約がされていなかった

予約した部屋と違う
といった利用者からの苦情が全国の消費生活センターなどに多数寄せられていることを受けた措置です。
Agoda側は4月に対策を報告したものの、その後もトラブルの報告は後を絶たない状況が続いており、観光庁は引き続き状況を注視し、7月に再度要請をしました。
今後改善が見られない場合は行政処分も視野に入れるとしています。
後を絶たないAgodaのトラブル、その具体例

Agodaを巡っては、以前から様々なトラブルが報告されていました。SNSや消費生活センターには、利用者からの悲痛な声が数多く寄せられています。
トラブルの種別 | 具体的な事例 |
予約不履行・内容不一致 | ・現地に到着後、ホテルから「予約は入っていない」と言われた。 ・予約完了メールも届いていたのに、宿泊施設側には情報が伝わっていなかった。 ・「禁煙・ツインルーム」で予約したのに、「喫煙・ダブルルーム」に案内された。 |
料金・決済の問題 | ・予約時に表示された金額より高い料金を請求された。 ・「現地決済」を選択したはずが、即時にクレジットカードで決済されていた。 ・キャンセルしたにもかかわらず、返金に一切応じてもらえない、または「アゴダコイン」での返金になると言われた。 |
不正転売とみられる問題 | ・星野リゾートなどが指摘しているように、Agodaと直接契約していない宿泊施設の客室が、第三者によって無断でAgoda上で販売(転売)されているケース。これにより、宿泊施設側が予約を把握できず、二重予約や予約不履行が発生する。 |
カスタマーサポートの問題 | ・日本語での問い合わせ窓口につながりにくい、または対応時間が限定的で緊急時に連絡が取れない。 ・問い合わせても「ホテルに直接連絡してほしい」と盥回しにされる。 ・担当者によって言うことが変わり、問題が解決しない。 |
なぜAgodaでトラブルが多発するのか?

Agodaを巡る問題は、単なる個別のミスではなく、そのビジネスモデルやシステムに起因する構造的な課題をはらんでいるとの指摘があります。
✅ 複雑なサプライヤー構造と「不正転売」 Agodaは自社で直接仕入れた客室だけでなく、他の旅行会社や「ベッドバンク」と呼ばれる卸売業者など、多様な経路から客室情報を得て掲載しています。中には、第三者が別のサイトで取得した予約を無断でAgoda上で転売している悪質なケースも含まれているとみられています。こうした複雑な流通経路が、ホテルと利用者の間での情報不一致や予約漏れの一因となっています。
✅ 海外企業ならではの障壁 Agodaはシンガポールに本社を置く企業です。日本の商習慣や法律への理解が必ずしも十分でない場合があり、トラブル発生時の対応も日本の消費者感覚とは乖離が見られます。サポート体制が海外拠点中心であることも、迅速で丁寧な対応を困難にしている要因の一つです。
✅ わかりにくい料金表示とキャンセル規定 一見安く見えても、税金やサービス料が後から加算されて最終的に高額になるケースや、「返金不可」プランのリスクが利用者に十分に伝わらないまま予約に至ってしまうケースが散見されます。
今後どうなる?我々はどうすべきか?
観光庁からの改善要請を受け、Agodaがどこまで実効性のある対策を講じるかが焦点となります。しかし、問題の根が深いことを考えると、利用者が一方的に不利益を被らないための「自衛策」が不可欠です。
【予約前の対策】賢く、安全に予約するためのチェックリスト

✅ 予約直後に宿泊施設へ直接確認: 最も確実な方法です。Agodaで予約を終えたら、必ず予約番号を控えた上で宿泊施設に直接電話をかけ、「Agoda経由で予約した〇〇ですが、予約は正しく入っていますか?」と氏名、日程、部屋タイプなどを確認しましょう。
✅ 「返金不可」プランは慎重に: 安さには理由があります。旅行の予定が少しでも流動的な場合は、多少高くても「キャンセル無料」のプランを選ぶのが賢明です。
✅ レビューを鵜呑みにしない: 高評価のレビューだけでなく、低評価のレビューにも目を通し、どのようなトラブルが報告されているかを確認しましょう。
✅ 証拠を残す: 予約時のプラン内容、料金、キャンセルポリシーなどが書かれた画面は、必ずスクリーンショットを撮って保存しておきましょう。
【トラブル発生時の対処法】泣き寝入りしないために

✅ Agodaカスタマーサポートに連絡: まずは公式のルートで解決を試みます。電話やチャットでのやり取りは、日時や担当者名、内容を記録しておきましょう。
✅ 消費者ホットライン「188」に相談: Agodaとの交渉で行き詰まった場合は、最寄りの消費生活センターなどにつながる消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話し、状況を説明して助言を求めましょう。
✅ クレジットカード会社に相談: クレジットカードで支払いをした場合、サービスの提供が受けられなかった(宿泊できなかった等)として、カード会社に「チャージバック(支払意義申し立て)」を申請できる場合があります。
✅ 他の予約サイトや公式サイトの利用を検討: Agodaのリスクを避けたい場合は、日本の旅行会社が運営する予約サイトや、宿泊施設の公式サイトから直接予約することも有効な選択肢です。
まとめ

オンライン予約サイトは非常に便利ですが、その手軽さの裏にあるリスクを理解し、賢く利用することが求められています。
私たち消費者一人ひとりが適切な知識を持って行動することが、業界全体の健全化にも繋がるはずです。
私がおすすめするのは、少し高くなるかもしれませんが日本の旅行代理店を利用することです。それが一番確実でトラブルになりにくいと言えるでしょう。
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