「520億円赤字」の資生堂、もしも“彼ら”が残っていたら? 手放した5つの国民的ブランド あなたも知ってるハズ

SHISEIDO 一般
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2025年11月、資生堂が発表した「520億円の最終赤字」「200名の希望退職」

米国事業の減損などが主な理由とされていますが、この苦境を前に、市場やファンの間ではある仮説がささやかれています。

もし、あの時にあの有名なブランドたちを手放していなければ、ここまで傷は深くなかったのではないか?

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資生堂の選択と集中

魚谷雅彦

2021年、資生堂は代表取締役 社長兼CEO魚谷雅彦氏のもとで高価格帯への集中(プレステージファースト戦略)を掲げ、ドラッグストアで買える日用品事業を投資ファンドへ売却しました(現在は「ファイントゥデイ」が展開)。

その中にはあなたもゼッタイ知っている有名なブランドも含まれています。

「えっ!これもう資生堂じゃないんだ!!」

と驚くあのブランドやこのブランドを紹介します。

TSUBAKI(ツバキ)

「日本の女性は、もっときれいになれる」──あの一言が消えた日

売却時の衝撃度: ★★★★★

TSUBAKIは2006年のデビュー時、SMAPの楽曲に乗せて、日本を代表する豪華女優陣(仲間由紀恵、竹内結子、広末涼子ら)が次々と髪をなびかせるCMを大々的に展開しました。

このCMは社会現象にもなり、「資生堂=TSUBAKI」というイメージを持つ層を強烈に印象付け、まさに資生堂の「顔」となったのです。

そのTSUBAKIが売却されることになった時にはその当時の印象が強い40代~50代の女性から大きな反響がありました。

TSUBAKIが資生堂じゃなくなるなんて信じられない。私の青春を支えてくれたのに

資生堂のマークが入っていないTSUBAKIなんて…

と、ブランドアイデンティティの喪失を嘆く声が殺到しました。赤色のボトルは、日本のドラッグストアの象徴でもあったのです。

SENKA(専科 / パーフェクトホイップ)

世界中の観光客が爆買いした「青いボトル」

売却時の衝撃度: ★★★★☆

SENKAシリーズの中でも特に洗顔料「パーフェクトホイップ」は、濃密な泡立ちと圧倒的なコスパで、日本人だけでなくアジア圏の観光客から絶大な支持を獲得。

ドラッグストアで外国人がカゴいっぱいに詰め込む「インバウンド爆買い」の象徴的商品でした。

売却が発表された2021年はコロナ禍の真っ只中。インバウンド需要が蒸発していた時期でもあります。

インバウンド

今は売れないから手放すのか

コロナが明ければ絶対また稼ぎ頭になるのに

という今苦しいという状況だけで将来の収益源を手放すことを疑問を抱く投資家や業界関係者の声も多く聞かれました。

uno(ウーノ)

uno

平成男子の「身だしなみ」を教えた教科書

売却時の衝撃度: ★★★★☆

unoは90年代から男性用整髪料・スキンケア市場を牽引。「洗顔なんて水でいい」と思っていた男性たちに洗顔料を使わせ、ワックスで毛先を遊ばせる文化を定着させました。

妻夫木聡、小栗旬、三浦春馬らを起用したCMシリーズは、もはや短編映画のような豪華さでした。

妻夫木聡

売却が発表されると

学生時代からずっとunoだった

俺たちの青春が売られてしまった

という当時よりの男性ファンからセンチメンタルな反応が目立ちました。男性化粧品市場が拡大傾向にある中での売却だったため、競合他社を利する結果になるのではという懸念もありました。

SEA BREEZE(シーブリーズ)

「キャップ交換」伝説を生んだ青春の代名詞

売却時の衝撃度: ★★★

もともシーブリーズは100年以上の歴史を持つ米国生まれのブランドですが、資生堂が日本での権利を取得後、中高生向けにリブランディングして大復活。

好きな人とボトルのキャップを交換して使い切ると恋が叶う、という都市伝説が自然発生するなど、単なる制汗剤を超えた「青春文化」そのものでした。

ボトルキャップ交換

実はターゲット層が若年層であるため、ビジネスニュースとしての衝撃よりも、

え、シーブリーズって資生堂だったの?

これから香りが変わったりしないかな

という驚きや実用面での心配がSNSで見られました。夏が来るたびに確実に売れる、季節需要の王様を手放した瞬間でした。

fino(フィーノ)

fino

SNS時代に自力でバズり続けた「赤い奇跡」

売却時の衝撃度: ★★★★☆

finoは大規模な広告を打たずとも、その圧倒的な補修力から「髪がトゥルトゥルになる」とSNSや口コミサイトで殿堂入りし続けたヘアマスク。

特にTikTokやInstagramでの拡散力は凄まじく、Z世代から絶大な信頼を得ていましたが、売却がわかった途端に

資生堂クオリティだから信じていたのに

という美容感度の高いユーザーからの悲鳴が上がりました。

広告費をかけずに売れ続ける、利益率の高い「孝行息子」を手放すことへの経営判断を疑問視する声も多く上がりました。

まとめ:安定を捨てた代償と、”膿”を出し切った未来

かつて日本の生活を支えたこれらのブランドは、単価こそ低くとも「不況に強い」という絶対的な強みを持っていました。

更には様々なブランドを売却したため多くの世代からそっぽを向かれたという側面もあると思います。

これらが手元にあれば、現在の業績の波はここまで荒くならなかったかもしれません。

しかし、今回の「520億円の赤字」という数字だけを見て、過度に悲観する必要はないという見方もあります。

赤字の正体は「現金の減らない損失」

今回の巨額赤字の主因は、主に米国事業に関連する「減損損失」の計上です。 減損損失とは、過去に投資した資産(買収したブランドの価値など)が、思うように利益を生まなくなったため、帳簿上の価値を切り下げる会計処理のことです。

重要なのは、これが「キャッシュアウト(現金の流出)を伴わない」という点です。 500億円のお金が会社から消えてなくなるわけではなく、あくまで「過去の投資の失敗を認め、帳簿をきれいにした」という意味合いが強いのです。

来期以降は劇的な回復へ?

減損処理を行うと、将来発生するはずだった減価償却費などの負担が軽くなります。つまり、会計上の「膿(うみ)」を一気に出し切ったことで、来期以降の収益構造は劇的に改善し、V字回復する可能性が高いとも言えます。

「日用品という安定剤」を捨て、退路を断って挑んだ高価格帯戦略。 身軽になった資生堂が、この痛みを乗り越えて真の成長軌道に戻れるのか。来期の数字こそが、その答えになるはずです。

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