「命の砂時計」があれだけ話題になったのに、なぜ入っていないのでしょうか。
2026年11月5日、「現代用語の基礎知識」選「2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のノミネート30語が発表されました。ところが、11月2日のGMOインターネットグループの記者会見をきっかけにXのトレンドへ入った「命の砂時計」は選外でした。
結論からいえば、流行していないと判断されたというより、会見から候補発表まで3日しかなく、選考に間に合わなかったと見るのが自然です。
イザ!は、同賞の最初の審査会が10月上旬ごろに開かれるため、11月に急浮上した言葉は候補へ反映しにくいと報じています。
この「3日差」は、流行語大賞がSNSのリアルタイムランキングではなく、少し早めに一年を締めくくる編集企画でもあることをよく表しています。
2026年のノミネート30語一覧
発表された30語は次の通りです。

暮らしに直結する語では、自転車にも交通反則通告制度が広がった「青切符」、最高気温40度以上の日を表す気象庁の予報用語「酷暑日」、物価や投資環境を映す「消費税1%」「NISA貧乏」が目立ちます。
一方、エンタメやSNSからは、M!LKの楽曲をきっかけに広がった「好きすぎて滅!」、三浦璃来・木原龍一ペアの愛称「りくりゅう」、「ちいかわ(現象)」「なんとかなれーッ」などが入りました。
一覧を眺めると、誰もが同じ言葉を使う時代というより、それぞれの界隈で強く共有された言葉を30語でつないだ印象です。流行語大賞を見るたびに「半分しか知らない」と感じても、それ自体が今の流行の姿なのかもしれません。
AI関連は4語、周辺まで含めるとさらに多い
「AI暴走」「声の権利」「データセンター」「フィジカルAI」と、AIに直接関係する語が4語入りました。半導体大手の「キオクシア」や、不正な再生・反応の水増しにも使われる「スマホ農場」まで含めれば、AIとデジタル社会の影響はさらに広く見えます。
2026年のAIは、便利なサービス名よりも、暴走への不安、権利保護、電力や設備、現実世界で動く機械へ関心が移った一年だった――30語からは、そんな空気が読み取れます。
「命の砂時計」は発表3日前に急浮上した

「命の砂時計」が広まったきっかけは、11月2日に行われたGMOインターネットグループの記者会見でした。
同社グループのサービス「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスを巡る会見で、熊谷正寿代表は、すでに回答した内容を再び尋ねられた際に「同じ回答をすると皆様の命の砂時計を無駄遣いします」と発言しました。
ITmedia NEWSによると、この表現は会見当日の午後6時半ごろにXのトレンドへ入り、流行語大賞を期待する投稿も出ました。ただし、ノミネート30語の発表はその3日後です。
「流行したのに外された」というより、候補がほぼ固まった後に話題が爆発した、と考える方が時間の流れに合います。
10月上旬の審査なら、11月のバズは拾いにくい
イザ!の11月5日付記事は、賞の対象期間を原則として前年12月から当年11月ごろまでとしつつ、最初の審査会は10月上旬ごろに行われると伝えています。
ここには少し分かりにくいズレがあります。対象期間の説明だけを見れば11月の言葉も入りそうですが、実務上は候補の整理や審査を発表より前に始めなければなりません。
「命の砂時計」はカレンダー上の対象期間には滑り込んでも、選考作業には間に合わなかった可能性が高いのです。
落選ワードには「流行の速さ」が表れる
ノミネート発表後には、「INMU KING」や「ショートスリーパー」など、ネットで話題になった言葉が入っていないという声も報じられました。
ただし、この2語が選ばれなかった理由は公表されていません。特に「INMU KING」については、小学生を中心に大バズしましたが、さすがに公でいえるような内容ではないからでしょう。
ショートスリーパーも2026年の下期を飾る大型バズなのにノミネートされていないというところにこの大賞の限界を感じます。
つまり「流行語大賞に入ったか」と「その瞬間にネットで最も話題だったか」は、同じ物差しではありません。「命の砂時計」の不在は、選考ミスというより、リアルタイムの流行と年末企画の時間差を可視化した出来事でした。
年間大賞とトップテンは12月1日に発表
ノミネート30語から選ばれるトップテンと年間大賞は、12月1日午後2時に発表される予定です。2025年の年間大賞は「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」でした。
2026年は、明るいスポーツの記憶を持つ「りくりゅう」、使い勝手のよい「好きすぎて滅!」、社会の変化を映す「AI暴走」や「酷暑日」などが並びます。どの語が頂点に立つかはもちろん、受賞語が「自分の2026年」と重なるかを比べるのも楽しみ方の一つです。
職場や家族との会話で話題になったら、「命の砂時計は発表3日前のバズで、選考に間に合わなかった可能性が高いらしい」と一言添えると、単なる大賞予想より少し話が広がりそうです。



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