2025年9月22日、東京都が都営住宅事業に関する特別会計で20年以上にわたり消費税を納付していなかったという、信じがたい事実が発覚しました。納税を管理・徹底するべき自治体による前代未聞の不祥事に、都民からは怒りと呆れの声が上がっています。
一体なぜこのような事態が起きたのか、その経緯と問題点を詳しく解説します。
事件の経緯と発覚のきっかけ

この問題の始まりは、都営住宅事業の会計が一般会計から独立した「特別会計」に移行した2002年度に遡ります。
消費税法では、課税売上高が1,000万円を超える特別会計は原則として納税義務が生じます。都営住宅等事業会計はこの条件に該当していましたが、都の担当部署は「消費税制度への理解が不十分だった」として、20年以上にわたり一度も申告・納税を行っていませんでした。
この長年の怠慢が発覚したきっかけは、皮肉にもインボイス制度への対応でした。都は2023年度分から納税を開始していましたが、2025年5月に東京国税局から「過去の年度分はどうなっていますか?」という照会を受け、未納の事実が判明したのです。
納付された金額と時効で消えた税金
今回、東京都が納付したのは、時効が成立していない直近の2019年度~2022年度分です。その内訳は以下の通りです。
💰️消費税: 約1億1,965万円
💰️延滞税: 約1,079万円
💰️無申告加算税: 約598万円
💰️合計: 約1億3,642万円
しかし、これは氷山の一角に過ぎません。2018年度以前の約17年分については、5年の時効が成立してしまい、国は徴収する権利を失っています。

都は「詳細な記録がなく、納税漏れの総額はわからない」としていますが、単純計算でも数億円規模の税金が時効によって闇に消えた可能性が極めて高い状況です。

あくまで単純計算ですが、今回納付した4年分の消費税額(約1.2億円)を年平均(約3,000万円)で算出し、時効となった17年分を掛け合わせると、5億円以上が未納だったと推定できます。
浮き彫りになった3つの重大な問題点
この不祥事は、単なる「事務的なミス」では片付けられない、都政の根幹を揺るがす重大な問題を浮き彫りにしました。
1. 小池都知事の「都政改革」との矛盾

小池都知事はこれまで「都民ファースト」「税金の無駄遣いをなくす」といったスローガンを掲げ、都政の透明化や改革をアピールしてきました。
しかし、その足元で20年以上にわたり納税義務を放棄するという、行政としてあるまじき怠慢が見過ごされていました。この現実は、知事の掲げる理念と大きく矛盾しており、政治姿勢そのものが問われます。
2. 「徴税する側」のあり得ない失態

東京都は、都民や企業に対して厳格に納税を求める「徴税権」を持つ組織です。その組織が自らの納税義務を認識せず、長期間にわたり放棄していたことは、都民への裏切り行為に他なりません。
「都民には厳しく、自分には甘い」という姿勢は、行政への信頼を根底から覆すものです。
3. 20年超の放置と時効という最悪の結末

この問題が最も深刻なのは、その期間の長さです。一度のミスではなく、20年以上もの間、誰一人としてこの異常な状態に気づかなかった、あるいは見て見ぬふりをしてきた都の組織体制は深刻です。
結果として、本来国庫に入るべきだった数億円の税金が時効で消え、その穴埋めは結局、正直に納税している他の国民や都民の負担となります。
都民の怒りとメディア報道への疑問
このニュースに対し、都民からは怒りの声が噴出しています。

ふざけるな!こっちはインボイスで苦しんでるのに、都庁が未納ってどういうことだ

『理解不足でした』で済む話じゃない。担当者と責任者の処分を明確にしてほしい

なぜもっと大きなニュースにならないんだ?自治体の不祥事の中でもトップクラスに悪質だ

結局、時効で逃げ切り。正直者が馬鹿を見る典型例だ
SNS上では、このような厳しい意見が相次いでおり、都の説明責任と徹底した原因究明、そして再発防止策を求める声が強まっています。また、これほどの大問題であるにもかかわらず、メディアでの報道が少ないと感じる都民も多く、報道の姿勢に疑問を呈する声も上がっています。
都は「今後、適切に事務を執行していく」とコメントしていますが、失われた税金と信頼を取り戻す道は極めて険しいと言えるでしょう。
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