Temuやアリエク、SHEINがオワコンになる?個人輸入課税強化へ

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ECサイトを開けば、驚くような低価格で商品が並ぶ「Temu(テム)」や「SHEIN(シーイン)」、「AliExpress(アリエクスプレス)」。日用品からファッションまで、多くの人がその安さの恩恵を受けています。

しかし今、そのビジネスモデルの根幹を揺るがすかもしれない「税制見直し」が、財務省で本格的に議論されています。

これまで格安で買い物ができて生活を支えてくれた海外通販ですが、もしこの見直しが実現すれば、私たちは今までと同じ価格で買い物ができなくなるかもしれません。

話題のワダイでは、今何が起ころうとしているのか、なぜ制度が見直されるのか、そして私たちの生活にどのような影響があるのかを、詳しく解説します。

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財務省でどのような見直しが行われているのか?

財務省

現在、財務省で焦点となっているのは、個人が海外から商品を輸入する際に適用される「少額輸入の免税制度」です。

現在の制度:約16,666円以下は消費税が免除

まず、今のルールを知る必要があります。 現在、個人が自分で使用する目的で海外から商品を輸入する場合(個人輸入)、その商品の「課税価格」が1万円以下であれば、原則として消費税や関税が免除されます。

ここでいう「課税価格」とは、一般的に商品価格の60%とされています。 つまり、商品価格が約16,666円(16,666円 × 0.6 = 約1万円)までなら、消費税10%がかからない、ということです。

TemuやSHEINなどで数百円~数千円の商品を買う場合、ほとんどがこの免税の対象となっていたわけです。

今回の見直し:この「免税制度」を廃止・縮小へ

財務省は、この「1万円以下の免税」という仕組みが、今の時代の商習慣に合わなくなっているとして、この免税措置を廃止、または基準額を大幅に引き下げる方向で調整に入ったと報じられています。

もし免税制度がなくなれば、私たちがTemuやSHEINで500円の商品を買った場合でも、消費税50円(10%)が上乗せされることになります。

そもそもなぜ優遇制度があり、今なぜ見直されるのか?

では、なぜこれまでは「優遇」ともとれる免税制度が存在し、そして今、急に見直されることになったのでしょうか。

優遇制度があった理由:事務コストと個人利用の前提

この免税制度が作られた背景には、主に2つの理由があります。

💲徴税の「事務コスト」の問題
かつて個人輸入は今ほど一般的ではなく、数も限られていました。海外から届く無数の少額な郵便物一つひとつに税額を計算し、徴収する作業は、税関にとって非常に手間がかかります。

徴税コスト

徴収できる税額よりも、事務コストの方が高くなってしまう可能性があったため、「1万円以下は免税」とすることで事務処理を簡素化していたのです。

💲あくまで「個人使用」が前提だった
この制度は、あくまで個人が自分で使う分(例:海外旅行のお土産の延長)を想定していました。商業目的(転売など)ではなく、少額の個人利用であれば、手続きを簡略化しようという趣旨でした。

    今、見直される理由:ECの急拡大と「不公平」

    その前提が、ここ数年で根本から覆りました。

    💲中国系ECサイトの爆発的普及
    TemuやSHEINといった海外ECプラットフォームが日本市場に本格参入し、スマートフォン一つで誰もが簡単に、日常的に個人輸入を行えるようになりました。これにより、「少額輸入」の量が爆発的に増加しました。

    💲国内事業者との「不公平」
    これが最大の問題です。 例えば、日本の雑貨店が海外から商品を仕入れて販売する場合、仕入れ時と販売時の両方で消費税を納めています。

    不公平

    一方、TemuやSHEINは、この免税制度を利用することで、消費税を納めずに商品を消費者に届けることができます。同じ商品でも、国内事業者は「商品代金+消費税」で売らなければならないのに、海外ECは「商品代金のみ」で販売できるのです。

    これでは公正な価格競争になりません。国内の事業者からは「これでは商売にならない」という悲鳴が上がっており、この「不公平」を是正すべきだという声が強まったのです。

    💲諸外国もすでに対策済み
    この問題は日本だけではありません。EU(欧州連合)やオーストラリアなどは、すでに同様の少額免税制度を廃止し、海外EC事業者に対してもきちんと税金を徴収する仕組みを導入しています。日本もこの世界の流れに合わせる形となります。

      今後どのようになっていくのか?

      報道によれば、財務省は2025年度(令和7年度)の税制改正での実現を目指して調整を進めています。

      もし改正が決定すれば、早ければ2025年以降、私たちがTemuやSHEINなどで購入する商品には、価格に関わらず消費税が課税されるようになる可能性が高いです。

      具体的にどのように税金を徴収するかはまだ確定していませんが、EUなどで採用されている海外ECプラットフォーム(TemuやSHEIN)側が、日本の消費税をあらかじめ徴収して、まとめて日本政府に納付するという方式が有力視されています。

      どこにどのような影響が出ると予想されるか?

      この変更は、消費者にとって実質的な値上げを意味します。例えば、これまで1,000円で買えていたものが1,100円(消費税10%)になるイメージで、安さを最大の理由にこれらのECサイトを利用していた人にとっては、魅力が薄れる可能性があります。

      一方で、国内の小売業者やメーカーにとっては、長年の「不公平」が是正されるため朗報となります。海外ECサイトとの価格差が縮まることで、国内市場での競争力が回復することが期待できるでしょう。

      オワコン

      影響を受けるTemuやSHEINなどの海外ECサイトは、最大の武器であった「免税による圧倒的な低価格」を失うことになります。日本市場での戦略見直しを迫られることは確実で、「オワコン」とまではいかなくとも、これまでの爆発的な成長にはブレーキがかかると予想されます。

      Temuなどを利用している人たちの意見

      このニュースに対し、SNSなどではすでに様々な意見が出ています。

      やっぱり値上がりするのか。今のうちに買っておこうかな…

      安すぎると思ってたけど、税金が理由だったなら仕方ない
      これが原因で撤退とかならないといいけど…

      国内業者いじめみたいになってたし、公平にするのは賛成

      多少高くなっても、便利だから使い続けると思う

      筆者の意見:制度の「穴」が塞がれる時が来た

      今回の動きは、単なる「増税」というよりも、グローバルなECの拡大という時代の変化に対し、古くなった税制の「穴」を塞ぎ、適正化するという側面が非常に強いと感じます。

      これまで国内事業者が不利な状況に置かれていたことを考えれば、この見直しは「遅すぎたくらいだ」とも言えます。

      値上げ

      私たち消費者にとっては、短期的に見れば「値上げ」であり、買い物の仕方が変わるかもしれません。しかし、中長期的に見れば、国内外の事業者が公正なルールの上で競争することになり、日本の経済全体にとっては必要な見直しと言えるのではないでしょうか。

      「安さ」には必ず理由があります。今回のニュースをきっかけに、私たちはその価格がどのような仕組みで成り立っているのかを考え、賢い消費を心がける必要がありそうです。

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