SNSの「高性能ファン」広告は詐欺。絶対に買ってはいけません。

SNSで見かける「パナソニック開発の世界最小エアコン」「1秒で室温が20度下がるサーキュレーター」といった、驚異的な性能を謳う小型扇風機の広告。これらは、有名企業や専門家の名前を無断で悪用した悪質な詐欺広告である可能性が極めて高いです。
私もSNSで頻繁にこうした広告を目にしますが、結論から言えば、絶対に手を出してはいけません。広告通りの商品は届かず、お金をだまし取られるだけです。この記事では、その巧妙な手口を解説するとともに、私自身の経験も踏まえ、どうすればこのような詐欺から身を守れるのかを具体的にお伝えします。
なぜ詐欺だと断言できるのか?

詐欺だと断言できる理由は、広告の内容が嘘で塗り固められているからです。元になったニュース記事でも指摘されている通り、その手口にはいくつかの共通点があります。
✅ 有名企業・公的機関の名称を無断使用
広告では「パナソニック開発」「アイリスオーヤマと東京工業大学が共同開発」などと、信頼性の高い企業や大学の名前が使われています。
しかし、取材に対してパナソニックは「全く無関係」と回答。他の企業や大学も同様に関与を否定しています。もちろん「ヤマダデンキ」のロゴや「東京消防庁のおすすめ」といった表示も全て無断使用された偽情報です。
✅ 非現実的な性能表示: 「起動から3秒で体感温度を16度下げる」「1秒で室温を20度下げる」といった性能は、現在の科学技術では手のひらサイズの小型ファンでは到底実現不可能です。
冷静に考えれば「ありえない」とわかるような誇大広告で、消費者の射幸心を煽っています。
✅ 専門家や受賞歴の偽装: 広告には、専門家として大学教授の顔写真と名前が掲載されていますが、これも無断使用です。また、「グッドデザイン賞受賞」といった権威あるマークを勝手に使い、商品の信頼性を偽装しています。
✅ 販売元の実態が不明: 広告に記載されている海外の販売元住所を実際に訪ねても、該当する建物が存在しないなど、連絡先や所在地がデタラメであるケースがほとんどです。問題が起きても、追跡や返金を求めることは極めて困難です。
これらの点から、広告全体が消費者をだますために巧妙に作られた「偽物」であることは明らかです。
私のSNSにも流れてきた「怪しい広告」の体験談

実は、私も最近FacebookやTikTokで、この記事と全く同じような広告に何度も遭遇しました。
「【本日限定価格 4990円!】大手メーカーの元技術者が開発した、軍事用冷却チップ搭載のポータブルファン!あっという間に氷点下の風!」
動画では、ファンから白い冷気のようなものが出ている映像が流れ、購入者の声として
「信じられないくらい涼しい!」
「もうエアコンはいりません!」
といった絶賛のコメントが並んでいました。
しかし、私はすぐに「怪しい」と感じました。
以前、オンラインでガジェットを購入しようとした際に、まさにこのような「うまい話」に惹かれて購入ページまで進んでしまった経験があるからです。

その時も、「残り在庫あとわずか!」という表示や、カウントダウンタイマーが常に表示され、冷静に判断する時間を与えないような作りになっていました。
販売元の会社概要を見ると、不自然な日本語で書かれた当たり障りのない文章があるだけで、電話番号の記載もありませんでした。
今回の広告も、コメント欄をよく見ると、投稿しているアカウントのプロフィールが不自然だったり、同じような内容の絶賛コメントが短時間に集中していたりと、典型的な「サクラ」の仕業であることが見て取れました。冷静に見れば見るほど、不審な点ばかりが目についたのです。
元記事のケースと同様に、「大手企業」「専門家」「限定価格」といった権威性や緊急性をアピールする言葉を並べ立て、消費者の判断力を鈍らせるのが彼らの常套手段です。
大切な資産を守るための自己防衛策
改めて結論です。SNS上の甘い言葉で誘う「高性能小型ファン」の広告は、あなたをだまそうとする詐欺です。では、どうすればこのような詐欺から身を守れるのでしょうか。以下の点を必ずチェックしてください。
自己防衛のためのチェックリスト

✅ 「ありえない性能」はまず疑う 「室温が20度下がる」「体感温度が-16℃」など、物理の法則を無視したような性能を謳う商品は100%嘘だと考えましょう。
✅ 必ず「公式サイト」で裏付けを取る 「パナソニック開発」と書かれていれば、必ずパナソニックの公式サイトを確認してください。本当にそのような製品があれば、トップページや製品一覧に必ず情報が掲載されています。
✅ 販売元の情報を検索する 広告のリンク先にある「会社概要」を確認し、記載されている会社名や住所をGoogleなどで検索してみましょう。実在しない、あるいは全く関係のない場所が表示される場合は詐欺です。
✅ SNSのコメントやレビューを鵜呑みにしない 絶賛のコメントは、業者が用意した「サクラ」である可能性が高いです。好意的な意見だけでなく、批判的な意見がないか、多角的に情報を探しましょう。
✅ 価格の安さに惑わされない 驚異的な性能を謳っているにもかかわらず、数千円という安価な価格で販売されている場合、そのアンバランスさを疑うべきです。
✅ 焦らせる広告は一度立ち止まる 「本日限定」「在庫残りわずか」といった煽り文句は、詐欺サイトの典型的な手口です。一度ブラウザを閉じ、冷静になる時間を作りましょう。
まとめ

夏が近づくと、涼しさを求める私たちの心理につけこんだ詐欺広告が増加します。少しでも「怪しいな」と感じたら、購入ボタンを押す前に、まずは疑って調べてみる習慣をつけることが、あなたの大切なお金を守る最善の策です。
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