え、嘘だろ…。 そんな言葉が、多くのネットユーザーの心の中を駆け巡ったのではないでしょうか。私もその一人です。日本のインターネット配信文化、特にニコニコ生放送の黎明期を語る上で、絶対に欠かすことのできない存在、金バエさんの訃報。あまりにも突然の知らせに、言葉を失い、ただただ深い悲しみに包まれています。

金バエさん。あなたは、私たちにとって太陽のような、いや、もっと破天荒で、予測不能な嵐のような存在でした。でも、その嵐が巻き起こす熱狂と興奮が、どれほど私たちの日常を彩ってくれたことか。
今日は、そんな金バエさんの破天荒で、愛すべき活動の軌跡を、感謝と敬意を込めて振り返りたいと思います。きっと、この記事を読んでくださっているあなたも、金バエさんの配信の思い出が一つや二つ、いやもっとたくさんあるはずですから。
ネットの無法地帯(褒め言葉)ニコ生が生んだ、時代の寵児

私が金バエさんの配信に初めて出会ったのは、もう何年前になるでしょうか。まだニコニコ生放送が、まさにネットの「今」を体現する場所だった頃。
トップページに表示されるサムネイルの中から、ひときわ異彩を放つ(というか、だいたい何かやらかしてそうな雰囲気を醸し出している)金バエさんの配信を、恐る恐るクリックしたのが全ての始まりでした。
「うわ、なんだこの配信は!?」
それが最初の正直な感想です(笑)。雑談かと思えば、いきなり奇声を上げたり、変な踊りを始めたり。かと思えば、真面目な(?)人生相談に乗っていたり。

そして何より衝撃だったのが「屋外配信」。今でこそスマホ一つで誰でも気軽にできますが、当時はモバイル回線もPCのスペックも、今とは比べ物にならないくらい貧弱でした。
そんな時代に、彼は様々な機材を駆使(時には無謀なチャレンジも!)して、街の喧騒や、時には警察沙汰ギリギリの現場(!)まで、リアルタイムで私たちに届けてくれました。
あの頃のニコ生は、本当に何でもありの、良くも悪くもエネルギーに満ち溢れた場所で、金バエさんはその中心で輝いていた、いや、暴れまわっていたスーパースターでしたよね。
あのハチャメチャが、なぜか愛おしかった。金バエ流エンターテイメントの極意

金バエさんの配信の魅力って、一体何だったんでしょうか。 もちろん、その過激さやハプニング性は大きな要素です。でも、それだけだったら、一過性の炎上芸人で終わっていたかもしれません。
私が思うに、金バエさんの最大の魅力は、その「人間臭さ」と「サービス精神」だったのではないでしょうか。彼の言動は、確かにメチャクチャで、時には眉をひそめるようなこともありました。
でも、その根底には、「見てくれる人をとにかく楽しませたい」「期待に応えたい」という、ピュアなエンターテイナー魂が常にあったように感じます。

コメントでイジられれば、全力でそれに乗っかって笑いを取りに行く。視聴者からの無茶なリクエストにも、「しゃーねーなー!」と言いつつ、なんだかんだで応えようとしてくれる。
あの姿に、私たちはどれだけ腹を抱えて笑い、そして勇気づけられたことか。予定調和なんてクソくらえ!と言わんばかりの、あのライブ感。一度ハマったら抜け出せない、強烈な「金バエ沼」がそこにはありました。
「またなんかやってるよ、あの人(笑)」と呆れながらも、気づけば毎日彼の配信をチェックしてしまう。そんな日常を送っていた人も少なくないはずです。私もその一人でしたから!
ネットが生んだ「怪物」は、社会に何を問いかけたのか

もちろん、金バエさんの活動は、常に称賛ばかりだったわけではありません。その過激なスタイルは、時に社会的な議論を巻き起こし、ネットの自由と規制のあり方について、私たちに大きな問いを投げかけました。
特定の事件についてここで詳しく触れるつもりはありません。でも、彼の存在そのものが、ネットという新しいメディアが持つ、良くも悪くも強大な「影響力」を世に知らしめたことは間違いありません。
テレビや新聞といった既存メディアとは全く違う文脈で、たった一人の個人が、これほどまでに多くの人々を動かし、社会をザワつかせることができる。その事実を、金バエさんは身をもって証明してくれました。
もしかしたら、彼の破天荒な活動は、ネットとリアルが急速に接近し始めたあの時代だからこそ生まれた、ある種の「歪み」であり「熱狂」だったのかもしれません。でも、その「熱狂」の中心には、紛れもなく金バエさんがいたのです。
金バエイズムは生き続ける?多くの配信者たちへ

金バエさんの活動スタイルは、良くも悪くも、その後の多くの配信者に影響を与えたと言われています。「金バエチルドレン」なんて言葉があったかどうかは定かではありませんが(笑)、彼のように自由奔放に、視聴者との距離感近く、リアルな日常をコンテンツにしていくというスタイルは、確実に一つの潮流を作りました。
「あの金バエさんを見て配信始めました!」なんていう配信者も、きっと一人や二人ではないはず。彼が切り拓いた(ある意味、荒らしまわった?)道を、今、たくさんの配信者たちがそれぞれの個性で歩んでいます。金バエさんがいなかったら、今のネット配信の風景は、少し違ったものになっていたかもしれませんね。
最後の最後まで、彼は「配信者」だった。そして、愛を知った人。

近年、金バエさんは体調を崩され、入退院を繰り返しているという話は耳にしていました。それでも、彼は配信を止めなかった。病室からと思われる配信の映像を見た時は、正直、言葉を失いました。
「そこまでするのか…」と。でも、それと同時に、彼の「配信者」としての凄まじい執念と、ファンとの絆の深さを感じずにはいられませんでした。

そして、今年(2025年)の初めには、結婚という、本当に嬉しいニュースも届きましたよね!「え、あの金バエさんが結婚!?」と、長年のウォッチャーとしては驚きと喜びで胸がいっぱいになったのを覚えています。
SNSで公開された指輪の写真を見て、「本当に良かったね…!」と、画面の向こうの彼に、心から祝福の言葉を送った人も多いのではないでしょうか。病と闘いながらも、最愛の人を見つけ、新たな人生をスタートさせた金バエさん。その姿は、多くの人に勇気と感動を与えてくれました。
最後の最後まで、彼は「金バエ」として生き、そして「愛する人」と共に人生の新たな一歩を踏み出した。その生き様は、あまりにもドラマチックで、そして人間味に溢れていました。
ありがとう、金バエさん。安らかに。

金バエさん。 あなたの配信は、私の、そして多くの人々の日常に、刺激と笑い、そして時にはちょっぴりの呆れ(笑)を届けてくれました。あなたのいないネットは、少しだけ寂しくなるけれど、あなたが残してくれたたくさんの思い出と、破天荒な伝説は、これからも私たちの心の中で生き続けるでしょう。
日本のネット配信文化に、とてつもなく大きな足跡を残した偉大なパイオニア。 金バエさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
ゆっくり休んでくださいね。そして、もし天国にもネット環境があるのなら、またいつか、あなたのハチャメチャな配信で私たちを笑わせてください。
本当に、本当にありがとうございました。
R.I.P

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