休日のマクドナルドで、ふと足を止めたことはありませんか?
店内のデジタルサイネージやトレイマット、あるいはスマホで流れてきたWebCM。そこから聞こえてくるのは、名曲「オトナノススメ」の懐かしいメロディ。「おっ、懐かしいな」と思って画面を見ると、そこに映っているのは……ゴリラや雪だるまのキャラクターたち。
「ねえ、このキャラクター、何?」
そう尋ねた瞬間、隣に座るお子さんの目がキラキラと輝き出したことはないでしょうか。
「えっ、知らないの!? ドズル社だよ! こっちがおんりーで、これがぼんさん!」
私たち親世代にとっては「謎のキャラクター」でも、今の小学生にとって彼らは、テレビタレント以上の影響力を持つ「ヒーロー」なんです。
マクドナルドという国民的チェーンとの大型コラボは、まさにそんな世代間のギャップが浮き彫りになる、象徴的な出来事かもしれません。
なぜ今、マクドナルドは彼らを起用し、話題の「歌ってみた」動画まで公開しているのでしょうか? そして、なぜ子供たちはこれほどまでに彼らに夢中になるのでしょうか? その背景を少し覗いてみましょう。
「ドズル社」とは何者? マイクラ実況のトップランナー
一言でご紹介するなら、彼らは「マインクラフト」の世界で活躍するゲーム実況グループです。
リーダーである「ドズル」を中心に、「ぼんじゅうる」「おんりー」「おらふくん」「おおはらMEN」の5人で活動しています。
彼らの主戦場はYouTube。チャンネル登録者数は右肩上がりで増え続けていて、単なるゲーム実況という枠を超え、「日本一」のグループを目指して走り続けています。
私たちが子供の頃に夢中になった戦隊ヒーローやアイドルグループの現代版が、デジタルの世界、特にブロックでできた自由な世界の中に存在している……そう考えると、少しイメージしやすいかもしれません。
なぜ小学生は彼らを崇拝するの?
子供たちが「ドズル社」にひかれる理由は、単に「ゲームが上手いから」だけではありません。そこには、現代の子供たちが憧れる「理想のチーム像」が詰まっているからです。
まるでアニメ! 個性豊かな役割分担
足が速くゲームスキルの高いスピードスター、いじられキャラだけど愛されるおじさん、癒やし系のキャラクターなど、メンバー5人の個性が驚くほどハッキリしています。
子供たちは「自分は誰タイプかな?」と重ね合わせたり、メンバー同士の掛け合いを見て楽しんだりしているのです。
「企画力」がすごい! 知的好奇心を刺激するエンタメ

彼らの動画は、ただゲームをしている映像を流しているだけではありません。 「無人島から脱出する」「セキュリティ最強の家を作る」「逃走中をマイクラで再現する」といった、テレビのバラエティ番組顔負けの企画が目白押しです。
そこでは論理的思考や発想力が試される場面も多く、子供たちの「知りたい!」「やってみたい!」という知的好奇心を強く刺激してくれるんです。
親も安心できる「クリーンさ」とヒカキンの系譜

ここが親御さんにとって一番重要なポイントかもしれません。 ドズル社の動画には、YouTubeでありがちな暴言や過激な煽り合いが極めて少ないんです。リーダーのドズルさんが元々医大生だったという経歴も関係してか、動画全体に知性と「優しい世界」が漂っています。
この空気感は、YouTuber界の絶対王者「ヒカキン」さんに通じる安心感と言えば、伝わりやすいでしょうか。 「ヒカキンさんの動画なら子供に見せても大丈夫」というあの信頼感が、ドズル社にも共通して流れているのです。

「YouTubeばかり見て!」と叱りたくなる気持ちをグッとこらえて見てみると、「まあ、喧嘩してるわけじゃないし、頭を使ってそうだからいいか」と思える……そんな絶妙なラインに彼らはいます。実際、ネットリテラシー教育の教材に起用されるほど、彼らの信頼度は高いんです。
マクドナルド「オトナノススメ」が架ける橋
今回のマクドナルドとのコラボレーションで特に話題なのが、WebCMとして公開された「オトナノススメ」の歌ってみた動画です。
怒髪天の名曲をカバーしたこの企画は、「大人が懐かしむマクドナルドの世界観」を「子供のカリスマ」が歌い上げるという、とても面白い構造になっています。

本来、ビジネスマンや私たち親世代に向けた「もう一度ダブチ」といったメッセージであっても、それを伝えるメッセンジャーが「ドズル社」であることで、まず子供たちが反応します。
「パパ、これドズル社が歌ってるやつだよ!」
そんな子供の声がきっかけで、久しぶりにマクドナルドへ行ってみようかな……なんて思った方も多いのではないでしょうか? これこそが、最強の動線となっているのです。
結論:ハンバーガーを片手に、共通の話題を
親が「誰それ?」と首を捻るのは、むしろ子供と仲良くなるチャンスかもしれません。
「このキャラは何が得意なの?」 「この動画のどこが面白いの?」
ぜひ、お子さんにそう尋ねてみてください。きっと彼らは、目を輝かせてその魅力を語ってくれるはずです。 マクドナルドのハンバーガーを片手に、親が知らない「現代のヒーロー」について子供から教わる時間。それは意外と、悪くないコミュニケーションのひとときになるはずです。

ドズル社とマクドナルドのコラボは、単なるキャンペーンではありません。 デジタルネイティブな子供たちと、アナログな少年時代を過ごした私たちを繋いでくれる、現代の食卓の新しい風景なのかもしれませんね。



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