夏になると、田んぼや小川で当たり前のように見かけた真っ赤なアメリカザリガニ。タコ糸の先にスルメを結びつけて、夢中でザリガニ釣りをした記憶がある方も多いのではないでしょうか。
私も子供の頃、友達と競い合ってザリガニを捕まえまくっていました。捕まえたザリガニをバケツに入れていたら翌日には死んでしまって強烈に臭くなって怒られたのもいい思い出です。

しかし、あれほどいたアメリカザリガニが、最近めっきり姿を消してしまったように感じませんか?
本日の話題のワダイでは、かつて日本の河川生態系の王者だったアメリカザリガニが、なぜ今、激減しているのか、その背景に迫ります。
アメリカザリガニはどこから来たの?

アメリカザリガニの元々の生育地は、アメリカ合衆国のミシシッピ川流域など、北米大陸南部です。
日本にやってきたのは1927年(昭和2年)のこと。食用ガエルとして輸入されたウシガエルの餌として、わずか20数匹が神奈川県鎌倉市に持ち込まれたのが始まりでした。
そのザリガニが自然に逃げ出して日本に住みつき始めたのです。
驚異的な繁殖力で日本全国へ

そのわずかな数のアメリカザリガニが、なぜこれほどまでに日本中に広がったのでしょうか。理由は、その驚異的な生命力と繁殖力にあります。
✅ 環境への適応力: 汚れた水や少ない酸素にも強く、田んぼや用水路、池や沼など、あらゆる水辺で生きていくことができます。
✅ 旺盛な食欲と雑食性: 水草や水生昆虫、オタマジャクシや小魚など、口に入るものなら何でも食べてしまいます。この食欲が、日本の在来種を脅かす一因にもなりました。
✅ 高い繁殖力: 一度の産卵で200個から1000個もの卵を産みます。天敵に食べられても、それを上回るスピードで繁殖し、爆発的に数を増やしていったのです。

これらの能力により、アメリカザリガニはあっという間に日本全国に分布を広げ、”水辺の厄介者“として扱われるようになってしまいました。
なぜ今、アメリカザリガニは激減しているのか?

あれほど猛威を振るったアメリカザリガニですが、近年その数は著しく減少しています。その理由は、一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っています。
✅ 生息地の減少: 圃場整備による田んぼの減少や、水路のコンクリート化が進んだことで、彼らが住処としていた泥の地面や隠れ家が失われてしまいました。
✅ 天敵の増加: ブラックバスやブルーギルといった外来魚や、アオサギなどの鳥類、アライグマなどの哺乳類といった天敵が増えたことも、ザリガニの減少に拍車をかけています。
✅ 人間による駆除: 生態系への被害が深刻化したことから、各地で駆除活動が活発に行われるようになりました。
✅ 地球温暖化の影響: 近年の夏の猛暑による水温の上昇も、高水温に弱いアメリカザリガニにとっては大きな打撃となっています。
アメリカザリガニはこの先どうなる?

2023年6月からは、アメリカザリガニは「条件付特定外来生物」に指定され、許可なく野外に放したり、販売したりすることが禁止されました。これは、これ以上生態系への被害を広げないための重要な措置です。
2023年5年6月1日からアカミミガメ・アメリカザリガニは「条件付特定外来生物」に指定されました。 一般家庭でペットとして飼育することはできますが、野外に放したり、逃がしたりすることは法律で禁止されます。
かつて、私たちの遊び相手だったアメリカザリガニ。その激減は、人間の活動が生態系に与える影響の大きさを物語っています。身近な自然の変化に目を向け、生き物との関わり方を考えていくことが、今、私たちに求められているのかもしれません。
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