「爆食いYouTube、終わるのかもしれない」――
そんな不穏な空気が、ついに現実味を帯びてきました。
韓国では、大食い・ダイエット系のYouTuberが実際に収益化停止を報告し、過去動画を数百本単位で削除する動きまで出ています。大食い動画はYouTubeの定番ジャンルですが、今その足元が少し揺らぎ始めています。
ただし、ここで先に結論を言っておくと、「大食い動画が全部禁止になった」わけではありません。問題になっているのは、大量に食べる動画そのものというより、過食や摂食障害を連想させる見せ方との境界線です。
韓国で実際に収益化停止が起きている

今回注目されたのは、韓国の大食い系YouTuberたちです。
現地報道によると、登録者約44万人の「サルペジョ」は、YouTubeの摂食障害関連ガイドラインが厳しくなったことで、チャンネルの収益化が止まった状態だと報告しました。どの動画が問題になるのか分からず、投稿自体を止めているとも説明しています。
さらに別のYouTuber「ミソ」は、収益化停止の通知を受けた後、過去動画339本を非公開または削除したと報じられました。
339本削除という数字はかなり重いです。単に1本の動画で広告が剥がれたという話ではなく、チャンネル運営の前提そのものが崩れかねないからです。
なぜ大食い動画が危なくなっているのか
YouTubeが急に「大食い禁止」を打ち出したわけではありません。
もともとYouTubeは、摂食障害を助長したり模倣を誘発したりする内容への対応を進めてきました。2023年には、専門家の協力を受けながら、摂食障害に関するコンテンツの扱いを見直す方針を公表しています。
広告に関するガイドラインでも、過食、食べ物を隠す行為、下剤乱用など、摂食障害のきっかけを共有する内容は収益化できないと整理されています。
つまり、問題は「たくさん食べた」ことだけではありません。
大量の食事に加えて、極端なダイエット、体重の増減、食事制限、過食の演出などが組み合わさると、YouTube側から厳しく見られる可能性が高くなるわけです。
ここが厄介です。視聴者から見ると普通の大食い動画に見えても、プラットフォーム側は別の基準で見ているかもしれません。
じゃあ、MAX鈴木やロシアン佐藤も危ない?

日本で言えば、MAX鈴木やロシアン佐藤のような有名大食いYouTuberに同じことが起きるのか、という話です。
現時点で、日本の有名大食いYouTuberが今回と同じ理由で一斉に収益化停止になったという事実は確認されていません。YouTubeの公式ポリシーにも、「大食い動画そのものを禁止する」とは書かれていません。
だから、「MAX鈴木やロシアン佐藤がもう危ない」と断定するのは早いです。
ただし安心しきれる話でもありません。
たとえば「巨大ラーメンを完食できるか挑戦する」動画と、「何日も食事を制限した後に1万kcalを爆食いする」動画では、同じ“大食い”でも見え方がかなり違います。
後者のように、過食や体重管理を強く結びつける見せ方は、今後より厳しく判断される可能性があります。
私はここが一番怖いと感じます。何が完全にアウトなのか、クリエイター側から見えにくいことです。曖昧な状態が続くと、結果として配信者は安全のために動画を消し、表現を弱め、ジャンルそのものが縮んでいきます。
今後は「爆食い」という言葉自体が避けられるかもしれない

もう一つ気になるのは、動画の中身だけでなく、タイトルやサムネイルの表現も変わっていく可能性があることです。
「爆食い」
「1万kcal」
「限界まで食べる」
「痩せた後にドカ食い」
こうした強い言葉はクリックを集めやすい反面、今後はリスクとして敬遠されるかもしれません。
すると、同じ内容でも「人気グルメを楽しむ」「大盛りメニューに挑戦」など、少し穏やかな表現に置き換わっていくはずです。視聴者からすると小さな変化に見えても、YouTubeで食べている人たちにとっては大きな方向転換です。
大食いYouTubeは終わるのか
私は、大食いYouTubeそのものが消えるとは思いません。
見て分かりやすく、言葉が分からなくても楽しめるので、エンタメとしての強さは依然としてあります。ただ、「食べれば食べるほど伸びる」「より過激な方が勝つ」という流れには、ようやくブレーキがかかり始めたのかもしれません。
それが健康面や若い視聴者の保護につながるなら、一定の意味はあるでしょう。
一方で、普通の大食いチャレンジまで機械的に危険扱いされるなら、それはそれで行き過ぎです。
今回の韓国での収益化停止騒動は、「爆食い動画はもう終わり」と断言できる話ではありません。けれど、「今まで通りではいられないかもしれない」と感じさせるには十分な出来事でした。
少なくとも、大食い系YouTuberにとっては、もう他人事ではなくなりつつあります。

コメント