2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』を見ていて、ある登場人物に視線が釘付けになった視聴者も多いのではないでしょうか。
鋭い眼光、腹の底から響くような低い声、そして主君に対する不気味なまでの忠誠心。これからの豊臣秀長(仲野太賀)に大きく関わることになる天才軍師・黒田官兵衛です。
「この迫力ある役者さんは誰?」と検索して、驚愕した人もいるはずです。
演じているのは、倉悠貴(くら ゆうき)さん。
そう、記憶に新しい2025年前期の朝ドラ『あんぱん』で、ヒロインたちを支えたあの気弱で優しい「岩清水くん」と同一人物です。
「嘘でしょ?」「脳がバグる」とSNSを騒然とさせている、倉悠貴さんの恐ろしいまでの「役作り」と「ギャップ」
なぜ彼はこれほどまでに別人に成り代わることができるのか。その経歴と演技の秘密を深掘りします。
SNSが騒然…「岩清水くん」と「黒田官兵衛」の決定的違い
視聴者が混乱するのも無理はありません。直近の代表作である朝ドラと、今回の大河ドラマでは、演技のベクトルが真逆だからです。具体的に何がどう違うのか、分析してみましょう。
『あんぱん』で見せた「引き算」の演技

朝ドラ『あんぱん』で演じた岩清水くんは、決して前に出ようとしないキャラクターでした。
印象的だったのは、その「姿勢」と「視線」です。常に少し背中を丸め、相手と話す時も自信なさげに視線をさまよわせる。声のトーンも一定で、決して荒げない。
彼の存在は、ヒロインたちの強さを引き立てるための徹底した「引き算」で構成されていました。「守ってあげたい」「幸せになってほしい」と視聴者に思わせる、愛すべき弱さがそこにはありました。
『豊臣兄弟!』で見せる「足し算」の覇気

一方、今回の『豊臣兄弟!』での黒田官兵衛はどうでしょうか。
まず、姿勢が違います。重心がどっしりと下にあり、体幹が太くなったかのような錯覚さえ覚えます。そして何より「目」です。
岩清水くんの時には見せなかった、瞬きを極限まで減らした射抜くような視線。相手の心の内を見透かすような不敵な笑み。そこには「弱さ」は微塵もなく、知性と野心という「足し算」の演技が爆発しています。
仲野太賀さん演じる秀長との対面シーンでも、一歩も引かない緊張感を生み出していました。
視聴者の反応「エンドロールを見るまで信じられなかった」
放送直後から、SNS上では驚きの声が相次ぎました。
「あの官兵衛、岩清水くんだと知って今年一番驚いた」
「声が全然違うから気づかなかった」
「同一人物とは思えない。憑依型すぎる」
これらは役者として、最大級の賛辞と言えるでしょう。これまでのイメージを完全に裏切り、視聴者の期待を良い意味で破壊して見せたのです。

世界も認めた実力?『将軍 SHOGUN』での狂気
実は、倉悠貴さんが時代劇で「化ける」予兆は、以前からありました。世界中で大ヒットし、エミー賞を席巻したドラマ『将軍 SHOGUN』です。
エミー賞受賞作での難役「長門(Nagakado)」

この作品で彼が演じたのは、主人公・虎永(真田広之)の息子、長門でした。
長門は、偉大な父に認められたい一心で暴走してしまう、危うさと狂気を秘めた若武者です。予測不能な動きで敵を翻弄し、物語を大きく動かす重要な役どころでした。
ここでも彼は、若さゆえの焦燥感や、狂気じみた笑顔を見事に表現しています。『あんぱん』の岩清水くんとも、『豊臣兄弟!』の官兵衛とも違う、爆発力のある演技。世界配信の作品で、名だたるベテラン俳優たちに混じって爪痕を残した経験が、今の自信に繋がっているのは間違いありません。
時代劇への適性が証明済み
『SHOGUN』の現場は、所作や殺陣に対して非常に厳格だったと言われています。その現場を経験しているからこそ、今回の大河ドラマでも、着物の着こなしや立ち振る舞いに違和感がありません。
「若手俳優が頑張って時代劇をやっている」感が出ず、最初からその世界に馴染んでいるのは、この世界的な現場での経験値があるからでしょう。
デビューのきっかけが「異質」すぎる件
これほど高い演技力を持つ彼ですが、実は幼い頃から子役をやっていたわけでも、演劇のエリートコースを歩んできたわけでもありません。
レッスンなしで「月9」デビュー

彼の芸能界入りのきっかけは、大阪の古着屋で働いていた時に撮られたファッション誌のスナップ写真でした。
その独特の雰囲気が関係者の目に留まりスカウトされ、なんと演技未経験・レッスンなしの状態から、フジテレビの月9ドラマ『トレース〜科捜研の男〜』で俳優デビューを果たします。
普通なら端役からスタートするところを、いきなりゴールデンタイムのドラマに抜擢される。それほどまでに、彼が持っている素材の力が強かったということです。
「素人っぽさ」という最強の武器

デビュー当時は、技術がないゆえの「生々しさ」や「何にも染まっていない透明感」が評価されていました。
しかし、そこからの成長速度が異常でした。数々の映画やドラマで経験を積み、わずか数年で「素人っぽさ」を完全に消し去り、今回のように「軍師」の風格さえ出せるようになったのです。
何色にも染まっていなかったからこそ、どんな色にもなれる。まさにカメレオン俳優としての才能が、今、開花していると言えます。
倉悠貴の演技を見るならこれ!おすすめ過去作3選

『豊臣兄弟!』で彼に興味を持った方に、ぜひ見てほしい過去作を3つ紹介します。
1. 映画『夏、至るころ』(2020年)
彼の映画初主演作です。福岡県田川市を舞台に、将来に悩む高校生を等身大で演じています。派手な演技ではなく、そこに「生きている」ような自然な佇まいが堪能できます。
2. 映画『窓辺にて』(2022年)
稲垣吾郎さん主演の映画で、重要な役どころを演じています。現代の若者が抱える気だるさや、言葉にできない感情を繊細に表現しており、官兵衛役とはまた違った「現代的なリアルさ」があります。
3. ドラマ『将軍 SHOGUN』(2024年)
前述した通り、彼の「動」の演技を見るならこれです。大河ドラマファンなら間違いなく楽しめる重厚な作品であり、彼の演じる長門の壮絶な生き様は必見です。
まとめ

『あんぱん』の岩清水くんで癒やしを与え、『豊臣兄弟!』の黒田官兵衛で戦慄を与える。
同じ時期にこれほど振り幅のある演技を見せつけられると、視聴者としてはワクワクせざるを得ません。
物語が進むにつれて、官兵衛はさらに冷徹な策士としての顔を見せていくはずです。その時、倉悠貴さんがどんな表情で私たちを驚かせてくれるのか。
「あの岩清水くんが…」という衝撃を噛み締めながら、今年の大河ドラマを追ってみてはいかがでしょうか。間違いなく、2026年を代表する俳優の一人になるはずです。

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