
素人はSNSを見てるだけでいい
人気お笑いコンビ、チョコレートプラネットの松尾さんから飛び出したこの発言が今、大きな波紋を広げています。
発端は、仲間である芸人が受けた誹謗中傷への怒りでした。その気持ちは誰もが理解できるものです。しかし、そこから導き出された「素人はSNSを使うな」という結論は、あまりにも短絡的で、多くの人々を失望させるものでした。
なぜ、彼の発言はこれほどまでに炎上したのでしょうか?
話題のワダイでは、今回の騒動の経緯を振り返りながら、その発言に潜む「3つの根本的な問題点」を深掘りし、なぜこれが見過ごせない問題なのかを解説します。
発端は同僚芸人を襲った「誹謗中傷」への怒りだった

まず、なぜ松尾さんがこのような発言に至ったのか、経緯を簡単に見てみましょう。
✅️アインシュタイン稲田さんのSNS乗っ取り被害
稲田さんが身に覚えのないDMを送ったかのようなデマが拡散。
✅️無責任な誹謗中傷の激化
デマを信じた人々から、稲田さんへ「嘘つき」といった心ない言葉が殺到。
✅️犯人逮捕と松尾さんの憤り
後日、犯人が逮捕され、稲田さんは無実の被害者だったことが判明。
この卑劣な事件に対し、松尾さんが「(犯人は)一生、電子機器使えない生活にしてほしい」と激しい怒りを表明したことには、多くの人が共感したはずです。
問題は、その怒りの矛先が「誹謗中傷犯」だけでなく、「一般のSNS利用者」にまで向けられてしまったことです。

「誹謗中傷に関してだけど、芸能人とかアスリートとか、そういう人以外、SNSをやるなって。素人が」
「素人が何発信してんだって、ずっと思ってるの」
この言葉が、多くの人の心に引っかかりました。
なぜ大炎上したのか?見過ごせない「3つの問題点」
松尾さんの発言がなぜこれほど批判されたのか。その理由は、単なる「言葉選びのミス」ではありません。根底にある考え方そのものに、多くの人が違和感と嫌悪感を抱いたからです。
問題点1:「素人」という言葉に透ける“選民思想”


自分達の仕事は蔑んでる素人さんが見てくれて笑ってくれて応援して貰って初めて存在価値がある仕事なのわかってないんだ
SNSで最も多く見られたのが、このような指摘です。
松尾さんの発言の最大の問題は、芸能人と素人を明確に線引きし、後者を見下しているかのような姿勢が透けて見えたことです。
エンターテイメントは、ファンという名の「素人」がいて初めて成立します。「面白かった」「応援しています」といった素人の発信に支えられていることを忘れ、自分たちを発信する権利を持つ「特別な存在」だと考えているかのような物言いは、傲慢以外の何物でもありません。
問題点2:あまりに乱暴な「論点のすり替え」


問題なのは『素人が発信すること』ではなく『匿名で誹謗中傷すること』。論点がずれている
これも的を射た批判です。
本来、撲滅すべきは「悪意ある誹謗中傷」です。しかし、松尾さんはその問題を「素人が発信すること」という、全く別の次元の話にすり替えてしまいました。
これは、「包丁を使った事件が起きたから、料理人以外は包丁の使用を禁止しろ」と言っているのと同じくらい乱暴な論理です。

一部の悪質な人間のために、大多数の健全な利用者の「表現の自由」を奪おうとする考え方は、あまりに極端で、受け入れられるものではありません。
問題点3:SNSが持つ「文化的価値」の完全な無視
この松尾さんの発言に対して長田さんは冷静に返しました

それじゃ、何も流行んないじゃん?
まさにその通りで、現代のカルチャーはSNSなくしては語れません。
✅ファンによる口コミや二次創作
✅クリエイターによる新たな表現の発表
✅趣味や関心でつながるコミュニティ
✅何気ない日常のポジティブな共有
これら全てが「素人の発信」によって成り立っており、その熱量がトレンドを生み出し、時には芸人である彼らの人気を押し上げることにも繋がっています。
その文化的・社会的な価値を完全に無視して「見てりゃいいの」と切り捨ててしまうのは、時代への無理解を露呈していると言わざるを得ません。
まとめ:怒りの感情に任せた発言の代償

今回の騒動は、誹謗中傷という許されざる行為に対して、一人の芸能人が抱いた正当な怒りが、誤った方向へ暴走してしまった結果と言えるでしょう。
しかし、その根底に見えた「ファンを見下すかのような姿勢」や「極端すぎる思考」は、多くの人を深く失望させました。
SNSは、誰もが発信者になれるツールです。その力を悪用する者がいる一方で、その力によって救われたり、人生が豊かになったりしている人が数多くいることも事実です。
私たちは、誹謗中傷という「悪」と戦うべきであって、SNSで表現する「自由」と戦うべきではありません。松尾さんには、今回の炎上を真摯に受け止め、誰に支えられて自身の仕事が成り立っているのかを、今一度考えていただきたいと願うばかりです。
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